10点稼いだつもりが、妻の評価は-10点

――なんらかのきっかけで料理に目覚める男性はいますよね。僕もオランダで一人暮らししていたときには時間があったのでいろいろつくったりしていましたが、これは完全に趣味の世界。パパ料理とはまったく違って、半日もかかるし、材料も大量に余る。コスト的にはめちゃくちゃだった。

実は始めてしばらくは僕もそうでした。まさに、おっしゃるとおりの柴田料理だった。朝から今日は何を作るのかレシピを眺めて決めて、その後スーパーをハシゴして深夜までつくっていた。パパ料理に気がつくのはこの2、3年あとです。

料理を始めた当時、これまで全く料理をしていなかった僕が料理をはじめたのだから家事の分担としては0だったものが1なり2になった。妻には喜ばれて褒めてもらえるのが当然だと思っていたんです。

しかし、だんだんと妻の評価軸と僕の評価軸が大きくズレていることに気がつきはじめます。週末僕が1回料理をすると僕は自分に10点をつけていた。10週もすれば100点です!

一方、妻はというと、評価をしてくれてはいたんですけれど、その点数は1点くらいだったようです。その上、僕はまったく洗い物をしなかったんです。ここに妻は-10点つけていました。そうするとどうなるか。僕の感覚では週末ごとに+10点なのに、妻のほうでは-9点なんです。

――それは蓄積するとすごい差になりますね。

はい。すごい乖離が起きてきます。そんな状況にもかかわらず、自分はいいパパだ、妻は喜んでいると思っていてその温度差に気が付けないまま「決戦のホームパーティ」を迎えることになります。

――「決戦のホームパーティ」?

ある日、僕の料理を食べたいという部下を大勢自宅に招きました。喜んでくれるだろうと思って大量の料理をつくって大量の洗いものを出したまま、ものすごくいい気持ちでその日はベッドに入りました。

翌朝……。洗い物は片づけられキッチンがすべてキレイになっている。「昨日は楽しかったね」と僕が妻に話しかけると妻が口をきいてくれないわけです。「どうしたの?」と聞いても「別に」「言わせる気?」と、とてもまずい雰囲気で。

――その後の展開が見えてきた(笑)。

この件でいままで自分がやっていたことは「趣味」だったんだと初めて気が付いた。僕は自分の好きに自分の食べたいものを好きでつくっていたんだと。

これは妻をサポートするうえでの本質ではないんだなと分かったんです。