「統計的異常=不健康」ではない

例えばたくさんの人の血圧を測り、横軸に低いほうから高いほうまでの血圧をとって、縦軸にその血圧を示した人数をとれば、グラフはだいたいベル型の正規分布という形になる。これはつまり、平均値あたりの血圧の人が人数的にはもっとも多いということだ。統計的な判断としては、中心あたりにいる人が「正常」で、極端に低い数値や高い数値が出た両端のほうの人は「異常」である。つまり、平均値から外れれば外れるほど、「異常」だというわけだ。

池田清彦著『病院に行かない生き方』(PHP新書)

中央から外れた10%を異常とするか、5%を異常とするかは、単に趣味の問題だからそれは別にどちらでもよい。

ただし、これはあくまでも統計的な「異常」であり、それが異常だからといって「健康ではない(あるいはその可能性が高い)」という話ではない。

「平均から外れている」こと自体は、統計上の「客観的事実」だといえるけれど、健康か病気かの絶対的な基準なんてものは実は存在しない。その方面の権威とされる団体(学会など)が「この辺から先は病気ってことにしよう」と恣意しい的に決めたものを「基準」ということにしているだけだ。

「基準」から相当外れていても(血圧が極端に高い)異常を自覚しない人もいるし、さして外れていない(血圧が少し高め)のに頭痛がひどいという人もいるよね。つまり、医者がいう「基準」による「異常」と、健康状態における「異常」は必ずしも一致しないというわけだ。

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