サウナ大国であるフィンランドでは、「サウナに入るほど高血圧が治り、心臓病リスクも低下する」との真逆の調査結果もあります。

小さいころから慣れていて自己調節機能が働いているのでしょう。ベテランサウナーならまだしも、慣れていない日本人の「にわかサウナー」にはあてはまりません。

驚いたことに長い時間水風呂に入って、頭がグルグル回るのが気持ちいいとおっしゃる人がいました。脳内から、セロトニンかアドレナリン、β-エンドルフィン、オキシトシンなど何か気持ち良くなる物質が出ているのでしょうが、急激な血圧の上下動が原因であることは明らかです。

これは甚だしく危ない状態です。そのまま気を失って「あの世」に行くという恐れもあり、怖くなってしまいました。

そんな時にビールでも飲んだら体に大きな負担をかけることになります。これは健全な「ピンピンコロリ」ではありません。いつまでも元気で健康長寿を目指す、という本連載の趣旨からも外れてしまいます。

心臓や血管に負荷をかけないための絶対ルール

サウナの健康効果を高め、「ととのう」と共存しているのが、血管の中で生じる数々のリスクです。激しい血管の収縮を避け、負担をかけ過ぎない「血管を守るサウナの入り方」が健康で長生きするためには欠かせません。

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1.血管の拡張をほどほどにするため、低温サウナで短時間を心掛ける

心臓の鼓動がバクバクしてきたら、それは血管が悲鳴を上げているサインです。限界まで粘る必要はどこにもありません。

マラソンでいうランナーズ・ハイを求めるのか、たまに12分計が1周するまで粘っている人を見かけます。血管は大丈夫かと心配になってしまいます。できるだけ短時間でサウナを出ましょう。

2.血管の収縮をほどほどにするため水風呂は短時間で

サウナ後に急に冷たい水風呂に入ると、全身の血管が締まり必ず高血圧になります。しかもサウナで低血圧後になった直後の超高血圧状態ですから、血圧の急激な変動は心臓や血管に大きな負担となっています。

40歳以上の高血圧の方は特に気をつけましょう。血管が破れる、血管の血栓がはがれて詰まるなど、脳卒中や心筋梗塞のリスクも高まります。体の芯まで冷え切ってしまうほど長く水風呂につかるのは、高血圧状態を加速させます。急激な温度変化、血圧変化を避け、半身浴、あるいは冷水シャワーがいいでしょう。