暴論だと思われるかもしれませんが、友だちは要らないと私が言うのには理由があります。

友人をつくると、人はどうしても相手と良好な関係を維持しようと努力します。また、「自分をわかってもらいたい」「相手のためになることをして感謝されたい」「相手に認めてもらいたい」と思います。それは、ひとつの欲にすぎません。

思惑どおりに受け取ってもらえればまだいいでしょう。しかし、いつもそうなるとは限りません。コミュニケーションの行き違いは、新たな悩みやストレスになります。

「多すぎる友だち」は心を疲弊させるだけ

特に、多過ぎる友だちは心を疲弊させ、精神的な健康を害します。

それだけ多くの人間関係を維持しなければならないからです。ましてや、SNSでつながるだけの関係など、一切なくて大丈夫です。

南直哉『「前向きに生きる」ことに疲れたら読む本』(アスコム)

そもそも人間関係でみんな疲れているのに、なぜそんなに友だちを欲しがるのか、増やしたいのか。私には不思議で仕方ありません。

友だちをつくろうとしなくても、自分自身のやるべきだと思うことをやっていて、それが本当にやるべきことであれば、必ず人が集まってきます。

また、同じようなテーマを持つ人間がそれを嗅ぎ分け、その相手との人間関係が自然にできていきます。そんな相手とは、たとえ年に一度しか会わなくても、会えば深く通じ合うものがあります。折に触れ、相手が何をしているのか気になり、風の噂を聞いただけで何を考えているのかがすぐわかる。そんな関係です。

そんな相手が私にも何人かいますが、その人間がいなくなれば、親を亡くすよりこたえるでしょう。

自分が大切にしたいものが決まれば、後は簡単。自分にとってどうしても必要な人間関係を調整していくことを考えればいいだけです。

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