より良い年金制度にするために国民全体で議論を
ただでさえ現役世代の実質賃金は年々減少を続けている。その減った賃金のうちの3~4割で、果たして老後の生活が成り立つのだろうか。
もっとも、小黒教授によると「政府・厚労省ばかりを責められない」という。
「所得代替率の計算方法は、法律(国民年金法平成16年改正法附則第2条)で定義されています。厚労省としては『決められた定義の通りにやっている』だけとも言えます。もちろん、この計算方法が本当に国民のためになるのか、より深い議論が求められるべきではありますが。
より良い年金制度にしたいという願いは政府・厚労省も当然持っています。しかし、政府・厚労省としても、さまざまな問題により、身動きが取れなくなっているというのが現状です。
高齢世代と現役世代から真逆のニーズを突き付けられ、一方では増税も難しいなど、政府・厚労省は手足を縛られた状態です。根本的な問題解決のためには、国民全体でもっと議論を深め、合意形成を図る地道な努力が必要でしょう」
年金について、一人ひとりの国民が、そろそろ真剣に考えるべき時期が来ているようだ。