60歳で“ハッピーリタイア”するために必要な準備

そこで重要になってくるのが「60歳 ハッピーリタイア論」なのです。あらかじめ周到な準備をしておき、「60歳でハッピーリタイア」することを実現させるのです。

そのために必要な概念は「エターニティ(Eternity)」です。

「エターニティ(Eternity)」の意味ですが、直訳は「永遠、永久」です。ここで「エターニティ」の意味するところは、「自分の金融資産残高(=『自分年金』の積立金残高)が永久に枯渇しないようなシステムを60歳までに構築してしまう」ということです。「60歳でハッピーリタイア」するには、「エターニティ」という発想が必要なのです。

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平たく言えば、「働かなくても、収入と支出が均衡するか収入超過の状態」を確立すれば、「エターニティ」が完成するということです。

「エターニティ」を構成する要素は、次の三つです。

1 原資となる金融資産の総額とその平均の運用利回り(税引き後)
2 年間の収入総額
3 年間の支出総額

毎年の収支が必ずしもプラスになっている必要はない

たとえば、次のような簡潔な数値を当てはめればわかりやすいでしょう。わかりやすくするために、ここでは「原資となる金融資産」を「1億円」という理想的な金額にします。

1 原資となる金融資産が「1億円」で、その平均の運用利回りが税引き後で「4.8%」
2 年間の手取りの収入総額は、1の運用収入と年金収入(たとえば手取り年額220万円)
3 年間の支出総額は、480万円(月額40万円)の生活費と臨時支出が毎年120万円

すなわち、

1 「1億円」で、運用利回りが税引き後で「4.8%」ですから、480万円
2 年間の手取りの収入総額は480万円(1の運用収入)+220万円(年金収入)=700万円
3 年間の支出総額480万円(生活費)+120万円(臨時支出)=600万円

となりますので、毎年の収支は「+100万円」となって、めでたく「エターニティ」を確立できています。60歳以降、いつまで生活していっても原資となる金融資産は減らず、むしろジリジリと増えていくのです。毎年の収支は、プラスである必要はなく、「±ゼロ」でもエターニティは確立できているといえます。