特性に合った技能や職業で活躍

学習障害では、言語理解やワーキングメモリが低く、処理速度が高いというパターンを示しやすい。処理速度は比較的単純な課題を素早く処理する能力だが、それがほかの群指数よりもずっと高いということは、逆に言うと、言語理解、知覚統合などの複雑な処理や知識を必要とする課題が苦手だということだ。

英語や数学のような、いわゆる学習課題は苦手だが、単純作業をてきぱき行う能力は優れている。学校時代は、勉強で苦労しがちで、つらいことも多いが、本人の特性に合った技能や職業に出会えると、社会に出てから活躍するケースも多いのである。

ASDの傾向をもつ場合もある

岡田尊司『発達障害「グレーゾーン」 その正しい理解と克服法』(SBクリエイティブ)

処理速度だけが高いというケースでは、程度の差はあれ、社会的コミュニケーションの困難をともないやすい。言語理解やワーキングメモリが弱く、言葉を操るのも話を聞きとるのも苦手なうえに、知覚統合も弱く、場の状況や相手の立場を読みとるのが不得手ということになれば、社会的コミュニケーションがうまくいかないとしても、ある意味、無理はないと言える。

なかには、ASDの傾向をもつ場合もある。ASDにも、処理速度が相対的に低いタイプ、つまり、言語・記憶優位な理屈っぽいタイプと、処理速度が相対的に高い、単純作業が得意なタイプがあると言える。同じASDタイプでも、特性が大きく異なるため、職業選択においてこうした点を考慮することはとても重要である。

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