提示する金額で売れるとは限らない
売却をする際には、まず、不動産仲介会社に今の住まいがいくらで売れそうか査定をしてもらいます。その際、依頼は1社ではなく複数社に。仲介会社によって査定額は違いますが、おおよその相場観はつかめます。このとき注意したいのは、仲介会社が提示する金額で売れるとは限らないということ。高い金額で査定してくれた仲介会社だから、という理由で売却依頼をするのは意味がありません。
実際にいくらで売れたかという成約価格を知るには、不動産の購入者を対象としたアンケートを調査に基づく情報を公開している国土交通省の「不動産取引価格情報検索」や、不動産仲介会社以外の一般の人も閲覧できる不動産流通機構の「レインズマーケットインフォメーション」が参考になります。
自分の家の周辺で、どんな物件がいくらで売り出し、成約されているか確認してみましょう。大規模なタワーマンションは住戸数が多いため、同時期に複数住戸が売り出されていることが多くあります。他の住戸の売り出し価格を確認して、わが家をいくらで売り出すかという作戦を立てるのも大切です。
売れないからと価格を下げてはいけない
一般論としては、中古マンションの売り出し価格と成約価格には7~10%程度の開きがあります。ところが、2021年6月には新規売り出し価格と成約価格がほとんど同じになりました。これは売り出されている戸数が少なく、在庫不足のため売り手市場になっていることが要因です。ですから、今は、同じマンションや周辺のライバルになりそうなマンションで、自分の物件と似たようなものが出ている場合でも、他の物件の売り出し価格から下げずに売却したほうがいいでしょう。
売却する住まいから退去していても、まだ居住中でも、購入希望者が現れれば家の中を見てもらう「内覧」が行われます。その際、購入希望者に良い印象を持ってもらうことが、早く、そして少しでも高く売るためには必要です。
ところが実際には、生活をそのまま見せてしまっている物件が多いのです。例えば、アメリカでは居住中の物件でもモデルルーム並みにデコレーションをして物件をより魅力的に見せます。この手法を指す「ホームステージング」という言葉もあるほどです。
必要のない荷物はトランクルームに預けたり処分したり、なかには家具や絵をレンタルするケースも。壁に絵が飾られているだけでも、売却のための大きな差別化になります。早く、高く売却するためには、モデルルーム並みにとまではいかなくても、住まいをキレイに、明るく、魅力的に見せるための努力は必須です。