「大手仲介会社だから安心」の落とし穴
不動産を売却する場合、お願いする不動産仲介会社について、大手か中小かといった議論にはあまり意味がありません。売却の成否は直接担当してくれる不動産エージェントのスキルや人柄に大きく依存するためです。
昨今は多くの買主がスマホやPCを通じて物件検索を行います。「宣伝力がありそう」といったイメージで大手に依頼しても実際は「アットホーム」「ホームズ」「Yahoo!不動産」の3つ程度に物件掲載されていれば、世間一般に情報は広く行き渡っていると言ってよく、その意味では大手も中小も関係ないと言えます。
中古住宅市場では新築と違って「ブランド力がある」といった理由で物件検索を行うこともありませんから「なんとなく安心」といったイメージだけで大手に依頼しても、物件情報を囲い込まれ、幅広く買主を募ってくれるのでなければむしろマイナス。名だたる大手でもいまだにこんなことをやっていることも多いのが実情です。
「物件情報の囲い込み」とは、売り主・買主双方から仲介手数料をもらいたいがために、他社から問い合わせがあっても図面を送らない・案内させないなどの妨害行為を行い遮断すること。これは不動産業界でも長年問題視されてきましたが、残念ながらいまだにこの悪習が絶えません。
一方中小の不動産仲介会社は人や書類などの品質にばらつきが多く、当たり外れが多い、バラつきが大きいと言えるでしょう。つまり不動産仲介会社を選ぶというよりは、不動産エージェント選びが大事だということです。
優良なエージェントを見抜く質問とは
その上で、どんなエージェントがいいのか。ポイントをざっくりとご説明します。
「2つの相性」をチェック
まずは「知識やスキルに関する相性」。端的に言って、こちらの望むレベルに達していないと感じられる担当はお付き合いできないでしょう。次に「人間的な相性」。これは人間ですから如何ともし難いところですが、信頼はしきれないけれども、なんとなく前に進むといったことは避けましょう。査定依頼をした際に、売却価格やその戦略の説明を受ける場面があるはずですが、その際のやり取りで判断すればよいでしょう。数社に査定依頼をすれば相対比較が可能です。
不動産立地に「本当に」精通しているか
売却する不動産の立地特性について、どの程度詳しいのか。どの不動産仲介業者もそれなりのプロですから、通り一遍のことは皆わかっています。買い物などの利便性や治安、水害可能性、地盤の特性、交通量や、小中学区及びその評判など子育てのしやすさといったことは当たり前。
ポイントになるのは例えば、当該立地の「昨今の売買動向」。マンションが強いのか、それとも一戸建てが強いのか。シングルタイプ・ファミリータイプなど属性ごとにどのような需給状態にあるのか。そして競合物件としてどのようなものがあるか、といった具体的なことです。