「賃貸に出す」にはハードルがとても高い

売ったり貸したりせずそのままにしておく場合でも「管理」は適切にしておく必要があります。「雑草の刈り取り」「ポスト周りなどの整理」「換気」「建物不具合の発見と対応」など。休日のたびに時間を割いてこうしたことを行うのが負担に感じる場合には、エリア内に「空き家管理サービス」を提供する事業者があれば、月々5000円~1万円程度で管理を依頼できます。

その場合でも固定資産税は当然支払う義務がありますし、建物に不具合があれば修繕費用がかかります。それでも空き家は、不法侵入によるいたずらや放火など、犯罪の温床になり得ることに留意です。

「賃貸に出す」という手もなくはありません。ただしこれは、ある程度の水準の賃料がとれないと採算が合わないことも多いのです。大抵の場合、貸す前に、一定の修繕やリフォームが必要になりますが、例えば30坪の4LDKだと、床壁天井を一通りやるだけでも150万円ほどかかります。さらにキッチンや洗面台など設備系一式で150万円くらいです。

リフォームに300万円かけて貸し出すとしても、それを何年で回収できるのか。仮に月5万円で貸し出せば、年間60万円。そうすると300万円回収するのに5年はかかります。実際は経費もあるから6~7年かかるでしょう。さらに固定資産税も払って……などと考えると結構な賃料を取れる立地でないと成立しないはずです。

「今がバブルかどうか」なんてだれも分からない

人に貸す場合は、従来通りの「普通借家契約」にすると「正当事由」がなければ退去を強制できませんので注意が必要です。これを嫌うなら「定期借家契約」として、2年・3年などの「期限の定めのある契約」としておきましょう。これなら決まった年数で退去してもらえますし、双方が合意すれば更新も可能です。

定期借家契約に関する諸注意点を述べるのは本稿の趣旨ではありませんので省きますが、ググればあらかた出てきますので、そうしたことを理解の上、不動産屋さんに相談してみてください。

上位15%の「価値維持・上昇する不動産」は、極端に言うとどんな方策案をとっても大丈夫。まだ上がると思えばそのままにしておくか、人に貸しておけばいいですし、そろそろ天井かなと判断すれば、売却してもいいと思います。不動産を大天井で売るというのはなかなか難しい判断で、上昇基調にあるなかで、ちょっと高めの価格で売りに出して様子をみる、くらいでいいのではないでしょうか?

そもそも今がバブルかとか、いやこれからバブル? みたいな話は禅問答で、いつも事後に振り返るしかできないのです。300年前、ロンドン株式市場の投機ブームに乗って「南海会社」の株を資産のほとんどを費やして購入した万有引力のアイザック・ニュートンは、その3週間後に株が暴落し、すべてを失いました。俗に言う南海泡沫事件で大損し「天体の動きは計算できるが、人々の狂気は計算できなかった」と述懐したのは有名な話です。