GEは風車のコストを下げる代わりに案件数を取り、風車の出荷本数を確保することで収益を出す考えがあるだろう。そうであれば、今後も三菱商事のグループはGEのそうした思惑を背景に低価格路線で案件数を取りにいくと考えられる。GEにとっても勝負手だったのだ。このトレンドは維持されることになろう。

アマゾンが三菱商事のグループに加わっている点も重要な意味を持つ。今後の日本の産業界の脱炭素転換を考える上でも大きなポイントとなる。

三菱商事とアマゾンは、すでに欧州の電力分野で協力関係を築いている。三菱商事がもつ権益からアマゾンに再エネ供給がされている実態がすでにある。日本においても昨年9月、PPA(電力購入契約)という形でアマゾンは太陽光由来の再エネを三菱商事から購入すると発表している。

アマゾンは今、データセンターの稼働などのために世界中でPPAに基づいて再エネの大規模調達を続けざまに発表している。日本にもデータセンターがあり、アマゾンにとっては国内での再エネ電源の確保が急務だと言える。

高値で売れる見込みがある…三菱商事がリスクを取れたワケ

需要家がPPAに基づいて再エネの長期購入を保証するのであれば、供給サイドにとってもメリットは大きい。

今回の連合において、三菱商事はアマゾンのほか、NTTアノードエナジー、キリンHDとも連合を組んでいる。NTTアノードエナジーはセブン&アイグループとPPAスキームで連携しており、キリンは国内工場全てにPPAモデルを導入すると2022年1月に発表したばかりだ。

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いずれもPPAスキームにおいて電力供給源を必要としている企業だ。もちろん三菱商事自身も4月から、ローソンにPPAでの電力供給を予定している。

このように、供給サイドではなく、需要サイドが流れを作るようになったという点からも、今回の事案は日本の転換点とも言える大きな出来事だ。これからの脱炭素の市場形成の在り方は変容していくだろう。