差が縮まる男女の結婚年齢

結婚した夫婦の年齢差は、厚生労働省「人口動態統計」から得られる平均初婚年齢の男女の差から判断することができる。

平均初婚年齢の男女差は、戦前はほぼ4歳で安定的に推移していたが、戦後になると3歳レベルにまで低下した。これは、家族の中で男子、特に長男を重視した戦前のイエ制度が男女平等を理念とする戦後憲法に反するものとして撤廃された影響が大きかろう。

その後、しばらくほぼ横ばいの推移を示していたが、1980年代後半から急落を始め97年には、2歳を切るに至った。その後も緩やかな低下傾向をたどり、2020年にはついに1.5歳と戦後直後の半分以下のレベルにまで低下している。夫婦の年齢差へのインパクトは、戦前から戦後にかけての制度変化より戦後を通じた長い間の社会変化のほうが大きかったとも言えよう。

増える姉さん女房の結婚

こうした平均初婚年齢の男女差の縮小は、日本社会における男女関係や夫婦関係の変容のあらわれと考えられるが、夫婦の年齢差の変化をより具体的に理解するため、以下では、同じ人口動態統計のデータから、夫婦の年齢差区分別の婚姻数の推移をたどってみよう。

初婚夫婦の年齢差区分別の婚姻数について、図表1で1970年からの50年間(半世紀)の変化を追った。

1970年、1995年、2020年という四半世紀ごとの夫婦年齢差区分別の婚姻数を比較してみる。1970年には夫が3歳年上の婚姻が10万3000件と最も多かったが、1995年には夫婦同年齢が10万6000件で最多と大きく変化し、その間、妻年上の各区分と夫婦同年齢がすべて増加する一方で、夫年上の各区分はすべて減少していた。夫が妻より年上なのが当然といった状況は大きく変化したと言ってよい。

1995年(オレンジ)から2020年(紫)にかけては、すべての区分で婚姻数が減少し、団塊ジュニアの世代(1971年~1975年生まれ)が結婚適齢期を過ぎ、結婚そのものが少なくなった状況を示している。

各区分のパターンはあまり変化しておらず、婚姻数の多い順番が、1995年の「①夫婦同年齢、②夫1歳年上、③夫2歳年上」から、2020年の「①夫婦同年齢、②夫1歳年上、③妻1歳年上」へとやや姉さん女房よりにシフトした点が目立つ程度である。