“ネズミの死骸”を処理することも

楽しかった体験もある。「イッツ・ア・スモールワールド」のボートでの嘔吐処理だった。

笠原一郎『ディズニーキャストざわざわ日記』(三五館シンシャ)

吐瀉物の量が少なかったのと、「ジャングルクルーズ」ほど揺れが大きくないためか、下を向いての作業も苦にならず、ものの1~2分で処理を終えた。ここでもゲストは乗せず、私ひとりでコースを一周したのだが、すぐに処理を終え余裕のあった私はゴール地点に戻るとき、ボートの中から並んで待っているゲストに向かって手を振った。

すると並んでいるゲストみんながいっせいにこちらに向かって手を振り返してくれた。老若男女がみな笑顔でこちらに手を振っているその光景は壮観で、私にしか経験のできない貴重な体験となった。

そのほかのイレギュラー対応としては、血液処理や動物の死がい処理がある。血液処理というのは、ほとんど鼻血である。興奮のためか、鼻血を出すゲストも多い。地面に飛び散っている血ほど“夢の国”に似つかわしくないものはなく、これまた迅速な処理が求められる。

園内には、動物の死がいもたまにある。私が実際に処理したものでは、スズメ、ムクドリ、ハトなど鳥類がほとんどである。東京ディズニーランドにはカラスがいないという都市伝説があるそうなのだが、実際にはカラスはたくさん生息している。

ネズミの死がいを処理したこともある。基本的には嘔吐処理の場合と同様だが、処理する前に必ずSVに連絡を入れる。死がいを入れたゴミ袋にはわかるように「ネズミの死がい」とメモ紙を貼り、コンテナの所定の場所に置く。処理後は、所定の専用用紙に記入し、SVに提出する。ネズミだからといって、手篤く葬られることはない。

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