キャスト総動員で園内に積もった雪を運び出す

冬は冬でキビシイ。真冬だと数時間立ちっぱなしでいるため、寒さが身に染みてくる。寒い日はマフラー、手袋(軍手)、厚手のコートなどを着用してもいいのだが、コートは厚くて動きづらいので着ているキャストは少数である。

冬の悩みのタネに雪がある。安全最優先の行動規準のもと、パークは雪の後始末を徹底していた。園内に積もった雪は、カストーディアルキャストのみならずアトラクションキャストなどキャストを総動員して、人力でバックステージに運ぶ。

写真=iStock.com/HenrikNorway
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ある大雪の朝、当日勤務のキャスト全員に早出が命じられた。オープンまでに積もった雪を「蒸気船マークトウェイン号」の乗り場近くのアメリカ河に捨てろという指示だった。私は、こんな日に出勤することになった自分の不運を呪った。老若男女問わず、キャスト総動員での作業が始まった。

私はスコップで雪をかき、大きな容器に入れる作業の担当になった。数分も作業すると、汗が出てきて、上着もいらないほどになる。小1時間ほど作業したところで、急にストップがかかった。アメリカ河に捨てられる雪が多すぎて、蒸気船の運航に支障が出る可能性があるという。

若者たちに交じっての作業ですでにヘトヘトになっていた私はようやく解放されたかとほっとしたのも束の間、続いての指示があった。

「アメリカ河ではなく、バックステージに運び込んでください」

これにはキャストからいっせいに落胆の声があがった。アメリカ河は目の前だが、バックステージまでは距離がある。余計に重労働になったというわけだ。また、オンステージで凍りついて滑りやすくなったところにはビニール袋にお湯を入れた「湯玉」を当てて原始的かつ根気よく溶かす。

ゲストにとって、雪景色のパークは絶景であり、今ではSNSにあげる格好のネタになっているようだが、これらの作業はたいへんな重労働であり、われわれキャストにとっては恨みの雪なのである。

“夢の国”は肉体労働者に支えられている

雨もまたキビシイ。オンステージ担当は傘を使えず(レストルーム担当は移動するとき、傘の使用が認められている)、レインギア(雨具)を着用しなければならない。着ているとすぐに蒸れてくる。雨が強いとレインギアのあいだから水が浸透してきて衣服を濡らす。これに汗が混じると不快感は最高潮に達する。

さらに仕舞うときにはタオルで水をすべて拭きとってから畳まねばならず、手間がかかる。降ったりやんだりのときが一番厄介で、やんだと思って水を拭きとり仕舞おうとするとまた降ってくる。