回復途上の一部業種に大きな影響も

しかし2022年に入り、残念ながら、日本国内でも感染が急拡大しました。東京でも、第5波の後は、少ない時にはひと桁まで下がっていた1日あたりの感染者数が3000人を超えるまでに拡大しており、今後も拡大懸念が取りざたされています。街角景気の数字も1月には大幅に悪化するものと予想されます。

図表2は「日銀短観」の12月調査の内容です。

この調査は、景況感が「良い」と答えた人のパーセントから「悪い」と答えたパーセントを引いているもので、その中間的な答えも認めています。私の感覚では20を超えていると良い状態だと言えます。

図表2は、大企業製造業と非製造業、それにその一部の業種の景況感を示しています。大企業製造業全体では、前回の9月調査と同様のプラス18で変わりません。少し頭打ち感が出てきた感じです。非製造業は9月調査の2から7ポイント改善して9まで伸びていますが、まだまだ強さは感じられません。

各業種を細かく見てみると、製造業では、化学、電気機械などは好調ですが、造船・重機などのほか、さらにこの国では存在感が非常に大きい自動車はマイナスの状況が続いています。

非製造業でも、不動産や情報サービスの景況感は良い一方、小売業や宿泊・飲食サービスは、改善はしているものの、その絶対水準は低い状態です。とくに、宿泊・飲食サービスは、24ポイント改善していますが、それでもマイナス50という惨憺たる状況が続いていると言えます。

そして、今回の第6波がやってきたわけです。景況感がそれほど改善していない業種、とくに宿泊・飲食サービスに関しては、さらに追い打ちをかけることになりかねません。

実際、ホテル経営者に聞いたところ、このところ宿泊のキャンセルが多く出ているということでした。

第6波に政府や自治体はどう対応するのか

1月9日より沖縄、広島、山口の各県にまん延防止等特別措置が適用されました。県内の全部または一部の市町村では、飲食などの制限が行われています。

また、東京や大阪をはじめ感染数が多い地域では、「自粛」の動きも見え始めています。政府もワクチンの3回目接種や飲み薬投与などを始めていますが、順調とは言えません。

イスラエルでは4回目の接種が始まっており、欧米諸国でも一般市民への3回目の接種が進んでいます。しかし、日本では医療従事者や高齢者への接種がようやく始まった段階で、これまで同様、欧米諸国に比べてかなり遅れているのが実情です。

先に景気回復が日本だけ遅れているのはワクチン接種が遅れたことだというお話をしましたが、今回も日本政府は、ワクチンや経口薬の入手が後手後手に回っている印象を否めません。