義時は生涯をかけて武士の世を作り上げていく

義時が武士の世を確立し、名実ともにナンバーワンとなるための総仕上げが、1221年の承久の乱でした。

松村邦洋『松村邦洋「鎌倉殿の13人」を語る』(プレジデント社)

それまで朝廷の“下請けSP”だった武士という階級が、その雇い主の朝廷を初めて戦で破って権力を握った。当時の人々にとってはそれこそ驚天動地の出来事だったでしょう。

幕府の総指揮を執った義時はその歴史的勝利の大功労者でした。

歴史の教科書では、義時の息子で御成敗式目を作った泰時の方が、扱いが大きい。ですが、義時の生涯を追っていくと、教科書ではわからない、武士の世が出来上がっていく鎌倉初期のダイナミックさ、ワイルドさをじっくり味わうことが出来るんですね。

『草燃える』の“呪縛”を解く面白いドラマに!

脚本の三谷幸喜さんは、1年間を通じてこの辺りをどう描いていくんでしょうか。親しくさせて頂いている三谷さんには、実は何の断りもなく(笑)勝手に本を書かせていただきました(『松村邦洋「鎌倉殿の13人」を語る』プレジデント社刊)。

今年の大河の、日本一面白くてわかりやすい解説本ですよ。

もっとも――というかお気づきかもしれませんが――『草燃える』を隅々まで記憶してしまったボクの中では、鎌倉時代はドラマである『草燃える』と歴史的事実とがごっちゃになったままなんです。

Tシャツにも表れる大河愛(撮影 大沢尚芳)

しかも放映されたのは40年以上前。その後に出てきた新しい事実や解釈もあります。そういう意味で、ボクは40年以上もの間、『草燃える』の“呪縛”に囚われたままなんです。

2022年は、ボクにとってはそんな“呪縛”を解いて、新しい鎌倉時代を観るための1年間となるわけです。

だからこそ、『鎌倉殿の13人』は、今までで一番楽しみにしている大河ドラマなんです。

早く新しい義時に会いたい。

石坂浩二さん、岩下志麻さん、松平健さんたちの後を継ぐ、新しい俳優さんたちの演技に出会いたい。ボクに『草燃える』を忘れさせてくれるような面白いドラマになることを、今から期待しています!

(構成=西川修一)
関連記事
ブッダの言葉に学ぶ「横柄でえらそうな人」を一瞬で黙らせる"ある質問"
「NHK大河ドラマではやはり描きづらい」20人の婚外子をもうけた渋沢栄一の”婦人ぐるい”
「天皇家と秋篠宮家はなぜここまで差がついたのか」NYの眞子さんの笑顔がはじけているワケ
「江戸出張はあまりにブラックだった」大名の参勤交代で部下たちが運んだ"ヤバい荷物"
「信仰心が篤いからではない」江戸時代の男たちが熱心に寺社参詣した"意外な理由"