当面、日本の物価は高止まりする恐れ
今後の展開を考えた時、来年の春ごろまで世界的に物価は高止まりするだろう。まず、冬場の暖房のための電力需要が増え、エネルギー資源価格には押し上げ圧力が加わりやすい。それに加えて、米国などでは緩和的な金融政策が修正され始めた。それとは対照的に、わが国の超緩和的な金融政策が修正される可能性はかなり低い。内外金利差の拡大観測を背景に米ドルなどの主要通貨に対して円は売られやすい。円安の進行は輸入物価を上昇させる一つの要因だ。
当面、わが国の物価は上昇し、高止まりする恐れがある。過去約30年間、実質的に給与所得が増加していないわが国経済において、家計は一段と不要不急の消費を絞り、生活を守ろうとするだろう。政府が計画している経済対策は一時的に景況感を下支えする可能性はあるが、名目GDPの約52%を占める家計の消費支出が安定的に増えないと国内経済の安定と回復はおぼつかない。物価動向は今後の日本経済の展開を考える重要なファクターといえる。