「孤独感」は、医療スタッフだけでは埋められない

小畑さんが専門としている「訪問看護」とは、看護師が患者宅に訪問して、患者の健康状態の観察や、病状悪化の防止、療養生活の相談とアドバイスを行うことである。子供から高齢者まで、病状や障害が軽くても重くても、医師の指示があれば訪問看護が受けられる。訪問看護を受けたい場合は、受診している医療機関や、近くの訪問看護ステーション、地域包括支援センターなどで相談するといい。

受けられる回数は、介護保険と医療保険で異なる。介護保険ではケアプランに沿って1回の訪問は20分、30分、1時間、1時間半の4区分。医療保険では通常週3回まで、1回の訪問時間は30分から1時間半程度だ(ただし厚生労働大臣が定める疾病等や特別訪問看護指示書が発行されると回数制限はなし)。かかった費用の1~3割が自己負担になる(保険の種類や年齢により異なる)。

兵庫県豊岡市の訪問看護ステーション「ひかり」の訪問看護師のみなさん

在宅療養は訪問看護師をはじめ医師やケアマネージャー、ホームヘルパーなど、さまざまな職種が連携して患者を24時間サポートする体制をつくるのだが、「孤独感」は、医療スタッフだけでは埋められない。

唯一の身寄りである妹が2015年にがんで死去

元芸者で80代半ばの久子さんは、唯一の身寄りである妹が2015年にがんで死去してから孤独感にさいなまれていた。妹に続いてがんを発症し、転移が数カ所ある状況で、小畑さんは1年3カ月間、久子さんの元に毎日通い続けていた。

「ホームヘルパーさんと看護師が毎日3回訪問していたものの、夜間の排泄や痛みのコントロールが困難になりました。夜になると痛い、寂しい、つらい、ちょっと来てほしいと頻繁に電話がかかってきたんです」(小畑さん)

孤独感をなくしてあげたいと考えた小畑さんは、久子さんが高齢者対応賃貸住宅へ入居できるよう尽力した。

「でもこの転居もストレスだったようで、不満を訴えることが毎日続きました。訪問時間を長くし、室内に花を飾って、一緒に歌をうたい、心身両面のケアに努めましたが、ある日訪問すると『鳥やカラスが鳴くみたいにさみしい。心がざわざわする』と言われたんです。どれほどの寂しさだろうと、その言葉に衝撃を受けました。何とか解決しなければいけないと、周囲になじめるようにサポートする計画をたてたのです」