中国などの新興国に怯える必要はない

――読者にメッセージをお願いします。

現在、日本は東日本大震災のショックや、福島第一原発事故の処理で、大変な状況にあります。悲観的になる気持ちは十分に理解できますが、日本はこの危機を難なく乗り越えることができるでしょう。これは、数多くの苦難を乗り越えて発展してきた日本の歴史を振り返れば、そう断言できます。

今の日本は、中国の経済的な台頭に怯え、他国の領海侵犯にうんざりしているようですが、中国などの新興国が、このまま一直線に経済発展するとは思えません。中国の経済構造は、あくまでキャッチアップ型です。先進国との距離を詰めることはあっても、追い抜くとは思えません。

例えば、人口学的な観点から見ると、中国の男女比率のアンバランスは深刻な状態にあり、中国社会はきわめて不安定な状態に置かれています。

――日本が打ち出すべき政策とは。

学者である私の使命は分析すること。政策を打ち出すのは政治家の仕事です。

――でもトッドさんは予言者ですよね。

たしかに、予言者かもしれませんね。しかし、政策を打ち出したり、命令を下す予言者ではありません(笑)。