正しいと思ったことは、わかってもらえるまで話し続ける

その後、三菱ケミカルホールディングスの経営戦略室の一員として復職。ここでは大きな壁を経験したという。まだサステナビリティーもMDGs(当時のSDGs)もほとんど知られていなかった時期に、華房さんはGCNJでの経験を踏まえて「これからのアニュアルレポートはESGなどの非財務情報も入れた統合レポートにするべき」と提案。

周囲からは「ESGなんて聞いたことがない」「財務情報と非財務情報を混ぜるなんて気持ち悪い」などと反発されたが、正しいと信じて粘りに粘った。

「今はそうした統合レポートは当たり前になっていますが、周りから見れば当時の私は“おかしなことを言う変な人”だったんでしょうね。それでも最終的にはわかってもらえたので、正しいと思ったことはひるまずあきらめず、わかってもらえるまで話し続けることが大事かなと思います」

人生で初めて「職場に行きたくない」と思った日

2014年には第二の転機が訪れる。ある日突然、人事部から内閣府の仕事を打診されたのだ。まさに青天のへきれきで、言葉の意味通り空が割れる絵が頭に浮かんだそう。

内閣府時代にもらったアルバム(写真=本人提供)

自分は官僚なんて向いていない、そんな場違いな所で働きたくない──。入社以降初めて「行きたくない」という思いを経験し、登庁初日には腹痛を理由にズル休みしようかと悩んだほどだったという。

とはいえ、実際に行ってみると面白い経験もたくさんできた。民間企業では学べないような知識も得られ、かけがえのない仲間たちにも恵まれた。2年間の任期を終えた後は「モノづくりで社会に具体的・経済的な価値をもたらせるのはやっぱり企業体だから」と会社に戻った。