「集団浅慮」を起こしやすい組織の8つの特徴

「集団浅慮」を提唱したJanis(1982)の研究によると、「集団浅慮」は、全員の一致を求める傾向が強い集団に現れやすいとされています。そのため、①集団の凝集性の高さ(集団への帰属意識が高い)、②不公正なリーダーシップや多様性の欠如など組織の機能構造的欠陥、③外的な強いストレスや自尊心の低下など状況的要因、これらがある場合に、全員一致の判断、を求める傾向が高まり集団浅慮に陥りやすくなるとされています。この集団浅慮に陥っている集団が示す特徴には、[過大評価][狭い了見][一致への圧力]に分類される以下の8つがあります。

1.失敗をしないという幻想を抱いている[過大評価]
2.道徳的、心理的に正しいと無批判的に信じている[過大評価]
3.自分たちに不都合な情報に価値を持たず、集団の行動を合理化するための努力が行われる[狭い了見]
4.敵対者へのステレオタイプな判断[狭い了見]
5.個人の中でも、集団からの逸脱を自発的に避けようとする自己検閲が働く[一致への圧力]
6.全員が一致しているとの幻想を抱く[一致への圧力]
7.同調圧力を働きかける[一致への圧力]
8.自分たちに不都合な情報や批判から自分の集団を守る監視人を自認する人材が現れる[一致への圧力]
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集団浅慮を防ぐ9つの防止策

Janisは、この状態を防ぐための9つの防止策も提案しています。

1.批判的評価者の設定:リーダーは、それぞれのメンバーに批判的評価者の役割を与え、メンバーが反対意見や疑問を発言するプライオリティを高めるべき

2.公正なリーダーシップ:リーダーは最初から意見せず、公正なリーダーシップに努めるべき

3.計画策定グループと計画評価グループの独立:計画策定とその評価を、異なるリーダの下にある完全な別グループが行うべき

4.複数のサブグループの設置:検討グループは、2つ以上のサブグループに分かれ、異なる議長の下で別々に検討を進めるべき

5.所属組織からのフィードバック:状況を自分の所属組織の信頼できる仲間に定期的に相談し、フィードバックを得るべき

6.外部意見の取り込み:外部専門家を会議に1人以上参加させ、コアメンバーの考えに対して異論を言うよう促すべき

7.悪魔の代弁者(devilʼs advocate):すべての会議において、少なくとも1人は、批判的立場をとる悪魔の代弁者の役割を与えるべき

8.敵対者の分析:敵対組織に関わる意思決定の場合、客観的にその組織を分析するべき

9.再考:いったん最善と思われる選択で合意したら、最終的な意思決定を下す前に結論に至ったプロセスを全員で再考するべき