欧州の有力企業は、すでに欧州東方に広がる「東のフロンティア」を取り込むべく手を打っている。欧州有力企業である携帯電話大手のノキアはルーマニアに積極進出している。本社フィンランドに比べ、ルーマニアの人件費は20%以下であり、EU域内のコスト競争力のある拠点で生産し、EU域内および世界で販売している。

これはもはや欧州有力企業では基本的な戦略となっているが、欧州に進出している日本企業は、この地域への進出と、現地人材を積極的に活用し、そこを拠点とした生産、販売を行う「経営の現地化」は概して遅れていると言える。表面上はユーロ高に支えられ、欧州拠点の収支は改善しているが、欧州有力企業ほどのダイナミズムは感じられない。

在欧日本企業は、1970年代までは西欧(英・仏・独・べネルクス)へ日本からの輸出入が中心であったが、80年代から西欧への直接投資がさかんになり、90年代には労働力の安い南欧(イタリア・スペイン)、そして近年は東欧・ロシアへの進出が始まっている。

ある大手日本家電メーカーの場合、欧州全域での従業員がすでに1万人を超えている。その半面、在欧日本企業の「経営の現地化の遅れ」は欧米企業と比べ顕著である。

トップチームの国籍構成3パターン

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トップチームの構成図(図1~図3)

それは、経営陣の構成を見ればよくわかる。在欧日本企業の経営陣(「トップチーム」)を3つのパターンで分けてみると、図1~3のようになる。

図1は「日本人のみ」、図2は「日本人多数と欧州人少数」、図3は「日本人1名と欧州人多数」の場合である。

図1は「現地化」の度合いが低く、適切な経営判断を行う現場感覚がトップチームにない。

図2は現地情報を判断する現場感覚はトップチームにあるものの、「日本人の意見=日本本社寄り」になり、トップチームの判断も往々にして無難な結論に落ち着くことが多く、現場スタッフとの認識のギャップがあるケースが目立つ。

図3はトップ以外の幹部はすべて欧州人である。一部の先進的な日本企業にて見受けられる。ここからさらに現地化が進むと、CEOが日本人でないこともありうる(欧州人でないこともあり)。

役員会議はすべて英語で行われ、徹底した議論を行い妥協を許さない。欧州各地を知り尽くした欧州人がトップチームの多くを占めることで、「汎欧州」として何がベストかという議論が可能になる。欧米企業に勝つ明確な汎欧州戦略の作成・実施には、在欧日本企業は少なくとも図2から図3の間のどこかへの「パラダイムシフト」が急務であるといえよう。