自分の弱さを認めると気持ちが楽になる

あなたのまわりを見まわして、完璧な人間なんているでしょうか?

すごい先輩や上司、同僚でも、そんな人はいません。遠くから見ていると「すごい人」に見えても、近くに寄ったら、意外に、たいしたことなかったりするのです。それどころか、すごい人ほど、全然できないところもあったりします。天才は、常識がないから天才になれたのです。

本田健『20代にとって大切な17のこと』(きずな出版)

僕たちは、いいところもあるけど、ダメダメなところもいっぱいある存在なのです。失敗したり、言われたことができなかったり、忘れ物したり、下手な噓をついてしまったりして、あとで気まずい思いをしたりします。

それでも、がんばって、人によくしようと無理をしたりして、なんとか生きています。それが、人類のほとんどの生き方だと思います。もちろん、もっとよくできる人、逆にもっとズルい人、できない人もいるでしょう。そういう人が78億人集まって、この地球で生きているのです。

もし、いま生きている人たちが、優秀ですごければ、とっくに世界の問題は解決しています。あなたの両親や先生たちを見たらわかるでしょう。偉えらそうなことを言っても、できていないことばかりです。

自分にもブーメランが返って来そうなので、あらかじめ言っておきますが、僕も失敗ばかりしています。頼まれていたことを忘れていたり、ダブルブッキングして、お客さんが玄関で鉢合わせしたり、冷や汗をかくようなミスを連発しています。

僕の会社のスタッフにも、「あの件どうなった?」と聞かれ(うちのオフィスでは、みんなタメ語で仕事しています)、「ええ? あれって、何だっけ??」としどろもどろに僕が答えることも、しょっちゅうです。

そんなときは、「ごめん、忘れてた。許してね。だって人間だもの」と、相田みつを風にごまかしながらあやまります。みんな、優しく許してくれているようです(たぶん……)。

そうやって、お互いがダメなところを認め合い、許し合い、フォローし合うのが、チームのよさだと思います。それでいて、できるところを伸ばし合えたら最高ですね。そのためには、自分の間違いや弱さを認められる強さが必要です。

僕たちは、ごく小さい頃から「間違いは許されない」という文化で育っています。

「ABCDの中から正解を選べ」と言われ、黒ひげゲームで剣を樽に刺すストレスを毎回感じているのです。間違えたらとんでもないことが起きる、というストレスを、僕たちは20歳までに何千回感じてきたことでしょうか。

20代のあなたは、まだそのトラウマから抜け切っていないと思います。僕も30年たった今でも、高校の試験を受けている夢を見ることがあるぐらいです。そういうときは、ハッと目が覚さめて、「50代でよかったぁ~」と、いまの幸せをみしめます(笑)。

失敗したらダメなメンタリティーを、どのタイミングで手放すかです。失敗してもOKになるには、しばらくリハビリが必要かもしれません。

「何かうまくいかないことがあっても、大丈夫」と感じられるまでには、もう少し時間が必要かもしれません。