男性脳は後天的に作られる

さて、この脳梁だが、妊娠28週までは、男性も女性と同じ太さなのである。妊娠の中期から後期にかけて、男性の胎児には、お母さんの胎盤から男性ホルモンが供給される。その作用で、男性の脳梁は日々細くなり、生まれるまでに5〜10%ほど細くなると言われている。

こうして、後天的に作られる男性脳なので、当然、母胎や子の特性やコンディションによっては、細くなり切らない男子が生まれてくる。

太めの脳梁の男子は、直感力が鋭く、芸術に秀でたり、新発見をしたり新事業を開拓するのに長けている。アインシュタイン博士の脳は、76歳で死亡したのち、研究のために解剖されているのだが、脳梁は、一般男性よりも10%ほど太かったのだそうだ。

黒川伊保子『不機嫌のトリセツ』(河出新書)

その言動から、スティーブ・ジョブズも、脳梁は太めだったと推測する。多くのダンサーや音楽家、デザイナーに、その傾向が見て取れる。

アインシュタイン博士もジョブズも愛妻家として知られた。しかし、脳梁太めの男子の中には、女性のようにしゃべったり、ふるまったりしたほうが自然だと感じる方もいるに違いない。ときには、自分にない感性を求めて、男性を愛する人がいても、まったく不思議ではない。どの生き方も、脳に素直な生き方。なにも間違ってなんかいない。

女性脳は、基本太めの脳梁で生まれてくるが、育つ環境によって、男性脳型に機能することがある。

市民とは、生きているだけでありがたいもの

他人と違う脳は、他人と違うことができる。生産性という表現をあえて使えば、子どもを持たなくても、社会に変革を起こして、多くの生産に寄与している。実は、子どもを産まない女性の脳も、子どもを産む女性とはまた違う成熟のしかたをするので、同じことが言える。

そして、たとえ、本人がお金を稼いでいなくても、その人のためにがんばろうとする誰かがいれば、それはまた生産性を上げることになるのではないだろうか。働くことができない、障害のある人であっても、生産性がないなんてとんでもない。

為政者は、「市民とは、生きて、誰かと関わっていてくれるだけで、ありがたいもの」と思わなきゃ。それが人間社会の基本、政治の基盤なのではないだろうか。

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