デジタル時代において重要な「リバースメンタリング」

今はコロナ禍で「よそもの」としての行動がしづらい状況にありますが、デジタル化、ダイバーシティの推進、環境への意識の高まり、この3つはこれまで以上に急速に進むはずです。どれも新しいことではなく、ずいぶん前からこんな時代がくるといわれていて、後回しにしてきたものばかりです。

デジタル時代においてはリバースメンタリングもより重要になります。世代によって持っている知見は異なります。若い世代から上の世代が学ぶことで、会社がやりたい施策に新しいアイディアや手法を得られることが多くあります。環境への意識の高まりはグリーンエネルギーという大きな流れだけでなく、実は身近なところにできることやビジネスチャンスが多く眠っています。

ダイバーシティは企業でも管理食や役員の男女比率が相変わらず議論になりますが、そこはそもそも論。さらに視点を広げて、様々な経験を持つあらゆる世代の人たちの視点や価値観をビジネスの現場に取り入れることがより重要になってくるのはいうまでもありません。「よそもの」として都市から地方へ人が動くこともそれぞれの視点を交差させることにつながり化学反応が起きやすくなります。

海外に出る機会の減少は、将来の日本にとってマイナス

今、心配なのはコロナによって、若い人たちが人と会ったり、海外に出る機会が減少していることです。そして日本経済の体力低下のしわ寄せが若者に行ってしまうと、資金力のない若者が海外に行く意欲も失い、成長の機会も減ってしまう。これは将来の日本の国力にとってもマイナスだと感じます。

鎌田由美子『「よそもの」が日本を変える 地域のものづくりにチャンスあり』(日経BP)

そのような思いも込めて、2021年3月に『「よそもの」が日本を変える 地域のものづくりにチャンスあり』(日経BP)という本を上梓しました。「アフターコロナの経済のヒントが詰まっている」「よそものとして飛び込む勇気と元気が出てきた」などの声をいただいていますが、驚いたのは、HPに読後の感想が何通も送られてきたことでした。

「今の働き方でいいのか」や「人生100年時代に退職後のことを真剣に考え現在の仕事と平行して行動を起こそうとおもった」などの声はまさに私自身が悩みながら言葉にしたかったことでもあります。私はこれからも「よそもの」として、私自身楽しみながら、一次産業を元気にする仕事に飛び込んでいきたいと考えています。

(構成= 梶原麻衣子)
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