「満足を引き起こす要因」と「不満足を引き起こす要因」がある

アメリカの臨床心理学者である、フレデリック・ハーズバーグが提唱した二要因理論(衛生要因・動機付け要因)によると、仕事における満足度は、ある特定の要因が満たされると上がり、不足すると下がるわけではありません。仕事への満足を引き起こす要因と、不満足を引き起こす要因は、それぞれ別なのです。

仕事の満足に関わる要因とは、仕事や同僚たちとの達成感、承認、責任増大(昇進)などで、動機付け要因とも言われます。これを満たすためには、仕事でできることを増やすことや、チャレンジングな仕事の機会を提供するなどが効果的と考えられています。

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一方、仕事の不満に関わる要因とは、会社の方針や職場環境、人間関係、給与などで、衛生要因とも言われます。衛生要因が不十分であると、仕事の不満が増加すると考えられています。大切なのは、衛生要因が改善しても、社員たちの満足度は上がるわけではないということです。衛生要因の改善は単に不満足を減らす(予防する)効果しかないのです。その理由は、衛生要因は皆すぐに、「慣れて」しまい「当たり前」になってしまうことだと思います。

給与が上がると誰でも喜びます。もっと働こう、会社のために頑張ろうと感じるものです。しかし、数カ月もすると、その給与に慣れてそれが当たり前になります。

衛生要因は、いくら取り除いても、決して満足感を高め続けることにはつながらず、仕事の満足度を引き出すためには動機付け要因を提供しないといけないのです。

社員がどこに「動機付け」をおいているかがポイント

では、会社としてはどうやって満足度を高めることができるのでしょうか。

労働条件がいい(働く場所が自分の好み、労働時間や残業時間の量が許容範囲内、働き方が好き)、やりがいの満足(自己成長を感じられる、いいチームワークがある)、人の満足(会社の人間関係がいい)等々の動機付け要因が考えられます。会社(人事)は、それぞれの社員がどこに動機付けをおいているのか、まずは知ることが大切でしょう。