ヨーロッパと日本で違う結婚、恋愛観

日本には「結婚と恋愛は別」という言い方があります。恋愛はあくまでも恋愛として楽しむもので、結婚とは別であるという考え方です。同時に「結婚は生活だよ」というアドバイスもよく耳にします。そこからは「結婚生活では愛だの恋だのとロマンチックなことばかり言っていられない」という考えが見えてきます。

ところがドイツでは結婚もいわば恋愛の延長です。いえ、恋愛そのものといってもいいかもしれません。そのため結婚後も男女が共通の趣味を持ち一緒に出かけたり、デートをしたりと「恋人のような関係」を維持するための努力を惜しまないことが「普通」だと見なされています。

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ドイツ人男性と結婚した日本人女性からよく聞くのが「子どもが生まれてから子どもにしか興味がなくなってしまい、夫は家族だからとハグや触れあいをせずに安心していたら『僕のことはどうでもいいのか』と夫が怒り出した」という話です。

日本では子どもができたら子ども中心の生活になり夫婦間のことは二の次になっても仕方ないという暗黙の了解というか、諦めのようなものがあったりします。ところがドイツを含むヨーロッパ人は「良いパートナーシップを築けてこその家族」と考えるため、日本流の考えとは温度差があります。

夫婦関係が破綻している場合の恋愛は不倫ではない

ドイツを含む欧米では「夫婦はいつまでも恋人同士のようにラブラブ」であることが求められるため、逆にラブラブでなくなった時は別れて男性も女性も新たなパートナーを見つけるのが自然だとされています。そのため、ドイツでは子どものいる女性が恋愛をしていても白い目でみられることはありません。

ドイツでは夫婦間で良い関係が築けていないと、日本人よりも離婚を決断するのが早いかもしれません。

ただドイツで離婚が簡単かというと、そうではありません。日本では双方が離婚届に印を押せば離婚は成り立ちますが、ドイツの場合は最低でも1年の別居期間を経た後にようやく離婚が認められます。この別居期間中は「夫婦関係が既に破綻している」と見なされるため、ドイツの世間はこの期間中の恋愛を「不倫」と見なすことはありません。

さらに、ドイツの法律では配偶者による不倫が原因で離婚に至ったとしても、相手に慰謝料を求めることはできません。それは「人の気持ちを法律で縛ることはできない」と考えられているからです。

福原愛さんの不倫が日本でこれほど叩かれていたのは、「お母さんという立場で恋愛をすること」に対して日本では厳しい視線が注がれていることもひとつの理由ですが、「不倫は法律の面でも慰謝料が請求できるぐらい『いけないこと』である」という社会のコンセンサスがあるからなのでしょう。

実は日本でも事実上夫婦関係が破綻していたり離婚調停中の場合の「婚外恋愛」は不倫に該当しないとみなされることも多いです。ところが有名人の話になると、その話題性からか、あえてマスコミが「不倫、不倫」と煽り立てているところがあるようです。