福原愛さんの不倫騒動は、日本中を驚かせ、本人へのバッシングが殺到しました。ドイツと日本で人生の半分ずつを過ごしてきたコラムニストのサンドラ・ヘフェリンさんは、「母親の不倫は、母でいるよりも女でいることを選んだと叩かれます。しかし子どものいる男性が不倫をした場合に、父でいるよりも男でいることを選んだとは言われないわけです」と指摘します――。
2020年9月24日、台湾・台北で、顔面にやけどやけがを負った子供や家庭を支援する団体の記者会見に出席した江宏傑さんと福原愛さん夫婦。
写真=Top Photo/時事通信フォト
2020年9月24日、台湾・台北で、顔面にやけどやけがを負った子供や家庭を支援する団体の記者会見に出席した江宏傑さんと福原愛さん夫婦。

国際結婚の難しさが浮き彫りになった

「福原愛さんが不倫をした」というニュースが飛び込んできた時、「あの泣きながら卓球していた幼稚園児の愛ちゃんが?」と思ってしまいました。筆者だけではなくおそらく日本の多くの人がそう感じたのではないでしょうか。

1月の時点で離婚協議中だったことや、家族のモラハラなど詳細を報じる週刊誌を読みながら、「愛ちゃんを泣かす男は許せない!」と思う一方で、このケースでは「国際結婚の難しさ」も浮き彫りになっています。

今回は「日本と外国の恋愛観や結婚観の違い」に触れながら、「女性が国際結婚をする時、どんなことに気をつけたほうがよいのか」を考えてみます。

一番叩かれやすいのは「ママの不倫」

日本では不倫は何かと叩かれがちです。芸能界で、独身の女性が既婚者の男性と不倫をした場合、双方が叩かれますし、既婚者同士の不倫もまたしかりです。

ただ今回のような「小さな子どものいる女性」の不倫というと、女性ばかりが一方的に叩かれている印象です。きっと「お母さんなのに、まさか不倫をするなんて」という世間の衝撃度が強いのでしょう。

ところで子どもを介して女性同士が付き合う際(いわゆるママ友ですね)、互いのことを名前ではなく「●●(子どもの名前)ちゃんママ」と呼ぶことも多いように、「子どもができてからの女性は『個』よりも『子どものママ』として立場を優先すべき」という日本社会の暗黙の了解のようなものがあるように思います。

子どもがいても恋愛をする女性については昔から「母でいるよりも女でいることを選んだ」などと言われ、「母親業をないがしろにして男に走った」というような解釈をされがちです。しかし考えてみれば、子どものいる男性が不倫をした場合に「父でいるよりも男でいることを選んだ」とは言わないわけです。こうやって比較してみると、改めて「日本という国でお母さんであること」の理不尽さが浮き彫りになるのでした。ちなみに中国のメディアはおおむね福原愛さんに同情的で、欧米のメディアについては、この不倫騒動自体にあまり注目していないようです。