【鳥集】いずれにせよ、日本を含むアジア・オセアニアの国々は、すでに新型コロナから免疫で守られている可能性が高い。したがって、2度目の緊急事態宣言が出たけれど、政策としていい選択だったと言えるかどうかはわからないということですね。

【森田】そうです。でも、国民の不安を考えると、出さずにはいられなかったでしょうから、仕方がないですね。ただ、普通に考えればコロナは冬の感染症なので、1月中旬から2月頭ぐらいがピークになるだろうことは、容易に予想できました。

【鳥集】そうですね。森田先生もツイートされていたと思いますが、グーグルのAIでも、1月から2月がピークになって、そのあと感染者が減ってくると予測していました。

【森田】はい、「実効再生産数(*3)」も1月17日ごろから1を切っています。

(*3)実効再生産数……一人の感染者が何人に感染させるかを推計した指数。1を超えると感染者が増え、1を切ると減るとされている。

写真=iStock.com/Fiers
※写真はイメージです

感染者減は「緊急事態宣言の成果」?

【鳥集】森田先生はよく、感染症はワーッと増えて、サーッと引いていくものだと指摘しています。ピークを越えて感染者数が自然に下がったのだとしても、「緊急事態宣言の成果だ」って言えるから、政府や自粛論者は得ですよね。

【森田】はい、そうですね。あともう一つ言えるのは、感染者数が増えたので、コロナ死亡者数も増えるでしょうけど、これぐらいの勢いであれば、たぶん例年の冬の全体の死亡者数とそんなに変わらない数字になるのではないかと思うんです。なぜなら、日本人は毎年約120万か130万人亡くなっているのですが、月別にすると一番少ないのが6月で、だいたい10万人なんです。

一方、一番多いのが1月で14万人。つまり、冬になると死者が4万人増えるわけです。この数字を考えると、新型コロナで毎日数十人亡くなったとしても、この4万人増加の範囲内に収まる可能性のほうが高いのではないかと思うんです。

【鳥集】そうだったとしたら、「超過死亡(*4)」が出ないということもありえますね。

(*4)超過死亡……例年の統計から予測した数字より死亡者が増えること。インフルエンザなど感染症が流行すると超過死亡が出るとされる。

【森田】はい、あり得ます。ただ、一つ注意しなくてはいけないのは、日本の死亡者数は毎年2万~3万人ずつくらい増えている。

【鳥集】高齢化の影響でしょうか。

【森田】そうです。ところが、昨年は逆に減っているんです。もしかしたら夏の間に自粛のおかげで命を長らえていた虚弱な高齢者の方々が、冬になって相次いで亡くなって、死亡者が増えるという予測も成り立ちます。