インフレを回避できなければ、各国財政にも影響する

また、過去数十年の間、米国では財政支出が増えてもインフレは回避された。そのため、現状、米財務省やFRB関係者、IMFの経済の専門家などがバイデン政権の経済対策が物価上昇に与える影響は一時的と考えている。

ただし、過去がそうだったから、今回も同様の展開になるという保証はない。実際に本格的にインフレが進み始めると中央銀行が金利上昇圧力を抑えることは難しい。短期から超長期まで、各年限の金利に上昇圧力がかかり始めると、米国では住宅ローンや学生ローンの返済負担の増大に直面する個人が増え、消費は落ち込むだろう。その場合には、世界各国の財政や債務問題への懸念も高まる。

バイデン政権の経済対策が一時的ではなく、粘り強いインフレ進行の要因になる可能性は軽視できない。そのリスクを抑えるためには、バイデン政権が米国の実体経済と資産価格の動向などを冷静に見極め、状況に応じた必要な政策の修正を実施することが必要だ。

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