「痩せている」ことより大切なこと
それでも社会の中では、雑誌やSNSでみるスリムなモデルさんをお手本のように捉え、美しいとされる美容体重を目指して多くの人がダイエットに励んでいます。
もう一度言います。あなたの身体にとって最も大切なのは、あなた自身が心地よく過ごせる身体であるかどうかです。あなたの身体をどんなふうに受け止めるか、そしてあなたの身体にどんな変化を起こすか(もしくはどんな変化も必要としないか)を決める権利は、あなた自身にあります。
どうか自分にとって一番心地よい自分の身体を、大切にして暮らしていただけたらと思っています。
外見が人生を左右する「ルッキズム」
日本は、ルッキズムの文化が根付いた国です。
ルッキズムとは、外見でその人の価値をはかり差別する考え方のこと。例えば「太っている人は痩せている人より劣っている」とか、「二重(ふたえ)の人は一重(ひとえ)の人よりも価値がある」とかそういったものです。
そもそも生まれ持った顔の構造や体格、体質、肌の色は自分で選べるものではありません。生まれつき二重の人もいれば、目が小さい人もいる。同じ量の食事を摂っていても全く太らない人もいれば、脂肪がつきやすい体質の人もいる。
自分の意志で選べないもので人の評価を決めつけることは、ありのままの自分で生きるという、人の権利を覆す行為です。
ダイエットが摂食障害の引き金に
また日本では多くの人が「摂食障害」という疾患に悩まされています(*)。摂食障害とは、拒食や過食など食事に関する行動に異常がみられ、それによって身体的もしくは精神的に日常生活に支障をきたす症状が現れる疾患です。
摂食障害になるきっかけや、なってからの経過は人それぞれですが、ダイエットが引き金になるケースも多いのが特徴です。
実は、私自身も摂食障害の経験者です。きっかけは大学生の時、当時の恋人から、「もう少し痩せてほしい」という言葉を受け取ったことでした。
*2014~2015年 厚生労働省研究班の調査では、摂食障害で一年間に受診する患者数だけで約2万5000人といわれています。