「街頭に繰り出す市民の声に耳を傾けろ」と朝日社説

朝日新聞もクーデター後、2回目の社説を2月11日付で掲載し、こう主張する。

「民意が決めた選挙の結果を受け入れたくない国軍が、力ずくで政権を奪ったのが事実である。市民の憤りは当然だ」
「平和的に街頭に繰り出す市民の声に耳を傾け、ただちにスーチー氏らを解放すべきだ」

ミャンマーの国民と国際社会は、スー・チー氏らの解放と民主政権の復帰を強く求めている。この求めにミャンマー国軍は耳を傾けるべきである。そうせずに反軍事政権デモの弾圧を続ければ、取り返しのつかない事態に追い込まれる。

かつて国軍は無差別に市民に発砲したことがあった。2007年のデモだ。当時の被害について、国連人権理事会の報告書は、31人が死亡し、74人が行方不明としている。さらにこのときには、APF通信社の契約ビデオジャーナリスト・長井健司さんが、ヤンゴンでの抗議デモ鎮圧を撮影中に、ミャンマー軍兵士に至近距離から銃撃され死亡している。決して許されない蛮行だ。

なぜ「対話」ではなく「説得」に変わったのか

最後に朝日社説は菅義偉政権にこう注文を付ける。

「加藤官房長官は、ミャンマー当局に民間人への暴力をただちに停止するよう強く求める、と述べた。肝心なのは、国軍に国内外の懸念を伝え、政変の撤回を促すことだ」
「軍政期から日本は圧力より対話を重んじてきたとされる。だが、今回の政変に懐柔的な姿勢で臨むようでは、日本の価値観外交の真意が問われる」
「国軍に対し、民主主義の原則を壊さぬよう、厳格な態度で説得に乗り出す時である」

「対話」ではなく、重要なのは「説得だ」と主張しているように読み取れるが、これは朝日社説のこれまでのスタンスとは異なる。なぜ対話ではなく説得なのか。「厳格な態度で説得」とは、具体的にどのようなものなのか。その点に踏み込む必要があるのではないだろうか。

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