中国当局は「冷凍食品に付着したウイルスから感染」と主張

2月9日の記者会見で、WHO調査団の中心メンバーである感染症専門家、ピーター・ベンエンバレク氏はこう説明した。

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「武漢で採取された新型コロナウイルスの遺伝子配列は特定のコウモリのそれとかなり類似している」
「人への感染ルートは、ウイルスの自然宿主とみられるコウモリと人との間に別の動物が存在する可能性が強く、感染経路を調べるにはかなりの時間がかかる」
「ウイルスが最初に発生したのは武漢とは限らない」
「中国だけでなく近隣諸国のコウモリも調べる必要がある」
「武漢ウイルス研究所から流出した可能性は極めて低い。今後、研究所の調査の必要はない」
「華南海鮮卸売市場については市場にあった輸入食品のサプライチェーン(供給網)の調査が必要だ」

WHOは中国当局の主張、たとえば「中国に輸入された冷凍食品に付着したウイルスから感染した」という言い分を本気で信じているのか。

「中国以外から感染が始まったという証拠は極めて限られている」

ただ、WHOの調査団のメンバー全員が中国寄りというわけでないようだ。感染症の研究者であるオーストラリア人のドミニク・ドワイヤー氏は、同国の放送局のインタビューに対し、こう話している。

「コウモリを媒介して感染した可能性が最も高い」
「感染は中国から始まったと思う」
「中国以外の地域から感染が始まったとする証拠は極めて限られている」
「中国とは見解の相違がある。だが、調査によって新型コロナの理解が深まった」

新型コロナ対応を検証するためにWHOが設置した独立調査委員会も今年1月18日、中間報告書を公表し、「国際的な公衆衛生上の緊急事態」(PHEIC)の宣言を見送った昨年1月22日と23日の専門家による緊急委員会についてWHOの対応を批判している。

「なぜこれより前に会合を開かなかったのか、なぜ宣言の発出に合意できなかったのか不明瞭だ」

この「国際的な公衆衛生上の緊急事態」は同年1月30日になって宣言されたが、1週間も宣言発令が遅れたことで世界各国の初動対応に大きく影響したことは間違いない。