日本の3つの勝因

私は、日本の勝因は3つに整理できると考えています。

1つ目は、日本の保険医療システムが充実し基礎疾患を日頃からあまねく管理できていたことや、重篤化した人々も医療者が献身的に治療できたことだと思います。高度な医療機材や治療薬を有して使えることや、国民の教育度も高いことも含まれます。

教育度が高いことは、ウイルスの概念を理解しマスクの必要性を実感したり、飲食店での飛沫経口感染を予防するための緊急事態宣言を国民全体で実行することにつながります。

2つ目は、清潔観念が徹底していることです。疫病が繰り返しはやることに対応し、靴を脱いで入浴が好きで部屋にあがり手洗いうがいをするといった個人個人の日常保清、下水道などの都市設計、ネズミや蚊など媒介動物を駆除などもふくめた人間を守る公衆衛生の総合力です。

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3つ目は、季節性コロナウイルスにさらされてきたことと公的補助による小児ワクチンと高齢者の肺炎球菌ワクチンの徹底などによる獲得免疫の恩恵が大きいと思っています。

この3つの条件がそろっていたため、実効性をもちつつ経済被害を最小限にする「ユルユル対策」が奏功したのだと思っています。乳児から高齢者まで健康管理やフリーアクセスをあまねく提供してくれている国民皆保険による保険医療制度を、今後も大切にしなくてはいけません。

新型コロナは、日本人が普段から積み重ねてきたこうした努力によって、甚大な健康被害を減らすことができることを教えてくれたと思っています。

厳重な管理は効果が少ない

日本とは比較にならない厳格な対応をしている海外の国々は沢山あります。

中国では、武漢で新型コロナウイルスが発生した際に新設病院を短期間で造り、全国の軍隊所属の医療班を招集し制圧し、感染を完全に鎮圧したと考えられていました。

ところが2021年1月になり、患者が発生した都市を容赦無くロックダウンし、市民が困窮していることが報道されました(注1)。2月近くになっても情け容赦無くプライバシーも無く、肛門から検体を採取するという徹底した検査もおこなわれています(注2)

欧州でも、強力な措置が取られました。

ドイツでは、10万人あたり新規感染者が200人以上の場合は移動制限になります(注3)。1400万都市東京では、1日に3万人という規模です。500人を目標にしている東京が、世界的にみてどれだけ完璧すぎるか良くわかる実例です。

フランスでは、夜間外出禁止令も出されており大型ショッピングモールの閉鎖が指示されています(注4)。全土で夜間外出制限が命じられ午後6時までに帰宅という厳しい措置が取られています(注5)