豪州クイーンズランド州で実施されていた「コロナ関連規制」の例
・屋内での密度制限:4平方メートル当たり1人
・屋外での密度制限:2平方メートル当たり1人
・飲食は着席のみ許可(立ち席パーティは不可)
・200平方メートル以下の店舗等:最大50人で、かつ2平方メートル当たり1人
・他人と出会う可能性がある公共での場所でのマスク着用は義務
(クイーンズランド州パラシェ首相の1月11日発表を基に、在ブリスベン日本総領事館まとめ。1月22日以降、緩和されている)

こうした施策を重ねることで「仮に周りに陽性者がいても、市中感染の確率は大幅に下がる」というわけだ。実際に同州では感染の抑制に成功したとの判断から、1月22日以降、感染対策の緩和がアナウンスされている。

「緊急」と言っているのに何ともゆるい

K子さんが日本に滞在中、1都3県を対象とした「緊急事態宣言」が発出された。ただ、宣言が発動されるまでの経過はK子さんにとって、とてもまどろっこしいものに見えた。「宣言をやる、と言ってから実際に施行されるまで数日置いた上、指示内容が何ともゆるいのが気になりました」と語る。

K子さんの知人から届いた、観光客がほとんどいないシドニーのハーバーブリッジの様子

「(クイーンズランド州州都の)ブリスベンで英国由来変異種の感染者1人が見つかったのですが、その数時間後には州首相が緊急事態宣言を導入。事実上の外出禁止を打ち出し、3日間だけ全力でこれを守ろう、と呼び掛けたんです。即断即決、かつ施行期間が短いのは市民に理解を得られやすい」
「緊急事態宣言は緊急な時に発令するものなのに、日本ではそうした緊張感が国民の間にまるで伝わらないのがヘンですよね」

帰国者に「氏名公表」の罰則?

政府は緊急事態宣言に伴い、日本人とごく一部の外国国籍者を除く外国人の新規入国を一時停止している。

日本への入国が認められた人は、搭乗前の72時間以内に取った陰性証明書の持参が求められるほか、「自宅などでの待機」「空港からの帰宅時などを含めた隔離期間中は公共交通機関の不使用」といった感染防止策を14日間守るとした「誓約書」の提出が求められている。

変異種が広がっている英国と南アフリカからの帰国者には、こうした条件に加え、さらに3日間の検疫期間が設けられており、検疫所が指定する空港近くのホテルでの滞在が求められる。

しかし、この「誓約書」にはツッコミどころが満載だ。

加藤勝信官房長官は1月14日の定例会見で、防止策に違反した場合には、感染防止の観点から「氏名などを公表することがありえる」と説明した。これには根拠となる法律がないが、「行政上の合理的な目的がある」として許容されると述べている。

だが、「公表に至るまでの経過を見た上で、個別に判断する」とも話しており、基準が必ずしも一定ではない。また、名前を公表することで「ネット上などで特定されたら、きっとその本人が困るに違いない」といった考えも見え隠れする。明確なルールを設けないまま自主規制を暗に促す内容で、なんともすっきりしない。