残っていないのにそう感じてしまう

では、残便感を訴える人は本当に便が肛門の近くに残っているのでしょうか?

前田孝文『男の便秘、女の便秘』(医薬経済社)

実際には、便がほとんど残っていないのに残便感を訴える人もいます。便が残っているか、いきんでも出せない状態なのか、などを様々な検査で確認できますが、便が見当たらない人もいます。肛門を直接触って確認(直腸指診)しても、全然便に触れることのできない人も多いです。こうしたことから、便が残っていないのに、残便感を訴える患者さんが多いことが分かります。

私が患者さんに「便は残っていませんよ」とお伝えしても、患者さん本人は「残っている感じがする」と言います。そこで「実際は便がないのだからどうしようもないですよ」と答えてしまったら、患者さんにとっては何の解決にもなりません。例え便が実際になかったとしても、患者さんはそれで悩んで病院に足を運んでいるのですから、先述したように丁寧に話を聞き、そのつらさを取り除くよう努めるのが医療者の仕事だと考えています。

女性は自分で対処法を考える

次に女性の便秘について考えてみます。女性は男性と比べると若い頃から便秘の人が多いです。若い女性では半分近くの人が自分のことを便秘だと感じているという調査結果もあるくらいです。

多くの女性が便秘なのですが、病院で治療を受けようと考える人はぐっと少なくなります。食事は食物繊維の多い野菜を意識して摂ったり、サプリメントを試してみたり、あるいは街の薬局で便秘薬を買って試してみたりなど、自分で対処している人が多いです。

実際に目に見える効果が出なくても日常生活に大きな支障がないため、なんとか過ごしている方が多いのではないかと思います。また、身の回りに便秘の人がたくさんいるので、便秘であることを特別なことと考えていない方も多いでしょう。

女性の便秘の場合、若い頃から自己流で便秘薬を使ってきたために、薬の効果が薄れてしまい、結果として治療が非常に難しくなる方がいます。