最終の意思決定機関である理事会も30人以上が参加していた

また委員会や部会には加盟14社の技術者や渉外担当者らが各社複数集まるものだから30人以上の大会議となる。各社の課長クラスが参加する分科会、部長クラスが参加する部会、役員クラスが参加する委員会と議題が上に上がるたびに、原案は「しだいに角が取れていった」(自工会事務局幹部)。

つまり現場レベルで役所と調整しながら各社が同意できる無難な内容になり、最後の理事会は単なる承認機関に陥っていた。業界団体にありがちな護送船団方式となり、業界で後れを取っている会社に歩調を合わせることもあっただろう。最終の意思決定機関である理事会も30人以上が参加し、各社のトップだけでなく担当役員らも参加していたので、議論はおざなりにならざるをえない。

そんな業界団体に「100年に一度の大改革」という時代に存在意義はあるのだろうか。そんな問題意識をもって今回、豊田会長がメスを入れた。トヨタ以外のメーカーの技術者として自工会の部会などの議論に参加したことのあるメーカーOBも「今回の改革は歓迎すべきことだ。これまでの役所との折衝や自工会内での協議は無駄なことが多かったと思う」と言う。

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5つに減った委員会や30の部会の定員は原則14人に

今後は5つに減った委員会や30の部会の定員は原則14人となる。委員会や部会などで議論する課題は理事会の了承を経る。理事会は委員会や部会で何が討議され、実行されているかを把握し、それぞれの事業を常に見直せる体制となった。

「自工会が取り組む事業は増え続け、最近では300事業に達していた。中には意味がなくなっていた事業もあった」(事務局幹部)ので、今回の組織改革で事業の整理もする。また自工会の事務局職員も多くの委員会、部会、分科会の連絡調整という事務作業が減り、絞られた議案の議論をサポートする情報集めや資料作りに専念できるという。

分科会から部会、委員会、理事会と議論が上に行くにつれて、角が取れていった審議内容も「自動車産業の力を底上げするために何ができるかを議論し、世界最高水準を目指していく」と組織改革に関わった事務局幹部やメーカー幹部は話す。いわば護送船団方式から「トップランナー方式」で自工会の議論を進めようとしているのだ。

豊田会長は「トップを含めて全員が自動車産業の思いを背負う覚悟と自覚を持って、何とか役に立っていきたいと自ら動いていく、そんな自工会に生まれ変わっていきたいと思う」と会見で語った。