自動車メーカーの業界団体「日本自動車工業会(自工会)」が組織改革に乗り出した。12の委員会を5つに集約。加盟14社の技術者など30人以上を集めていた会議は、原則1社1人の14人体制に変えた。この結果、自工会関係者の約半数が「仕事」を失った。改革を主導するのは自工会会長でトヨタ自動車社長の豊田章男氏だ。その狙いを、経済ジャーナリストの安井孝之氏が解説する――。
9月24日、リモート会見を行った日本自動車工業会会長でトヨタ自動車社長の豊田章男氏。
写真提供=日本自動車工業会
9月24日、リモート会見を行った日本自動車工業会会長でトヨタ自動車社長の豊田章男氏。

「組織の構成」ひとつ取っても、50年間、全然変わっていない

日本の自動車・二輪車メーカー14社が加盟する日本自動車工業会(自工会)が10月1日に組織の姿を大きく変えた。これまで30人以上だった理事は17人に減り、安全や環境、税制などを議論する12委員会は5委員会に集約された。各メーカー出身の理事は原則、社長・CEOが就任することになり、理事会で即断即決できる体制となった。

これまでの12の委員会は自工会が今の形となった1967年以降、何度か見直しがあったものの大枠はあまり変わっていなかったという。一方、自動車産業が抱える課題はこの50年余りで大きく変わった。

委員会の数は12から5に減った(日本自動車工業会の配付資料より)
委員会の数は12から5に減った(日本自動車工業会の配付資料より)

1970年代は米マスキー法に始まる排ガス規制をどうクリアするかが大きな課題だったが、いまでは自動車メーカーばかりかGAFAのような巨大IT企業との競争が激しくなるCASE(コネクテッド・自動化・シェアリング・電動化)と呼ばれる技術革新にどう立ち向かうかが焦眉の急である。70年代後半から90年代にかけて激しかった自動車を巡る日米貿易摩擦もいまでは沈静化した。それなのに自工会という業界団体の体制はほとんど見直されてこなかった。

9月24日の自工会理事会後の記者会見で豊田会長は「『組織の構成』ひとつ取っても、50年間、全然変わっていない。これでは自動車産業の未来に向けて業界全体の軸となる役割を果たしていくのは難しいのではないか」と言い切った。例えばCASEなどの新しい競争分野での基準づくりでは、オールジャパンで政府も巻き込んで対応しなければ欧米や中国に後れを取りかねない。そのためには自工会の体制強化が必要だったのだ。