「プレゼンを始める前は、まず誠実性が重要です。与えられた課題に対してまじめに取り組んでいる誠実さを見せる。予定時間より早く来て準備すれば、誠実性が強い人に見え、まじめそうな印象になります。プレゼンが始まったら、笑顔やリラックスした姿勢を見せる。プレゼン中は、外向性を強調する社交的な態度を取れば、取っつきやすい印象になります。プレゼン後は再び誠実性を発揮して、礼儀正しく完了する」

「目的に合わせて5つの要素を上手にアピールする」

プレゼン後に敵意のある質問や反論もあるはずだが、

「そういう場合でも、『私もそう感じます』とか『参考になります』のように対応すれば、相手もポジティブに変わるんです。自分は完璧ではないことを誠実に示すんですね」

最初の印象で、その人の全体のイメージが大きく決まってしまう危険性もあるほど、コミュニケーションの取り方は難しい。例えば、仕事が忙しいときに、上司に急に呼び出されたらどうすべきか。

「まずは、すぐに駆けつけるべきです。どうしても手が離せないのなら、きちんと理由を伝え、『○時までに必ず伺います』と約束する。相手に不安を抱かせないことが誠実さで、信用につながります」

初対面の相手ならなおさら、最初に信用を勝ち取ることが大切だ。

また、多くの職場で見受けられるようになった成果主義だが、佐藤教授は、行きすぎた成果主義は、コミュニケーション自体をギクシャクさせやすいと指摘する。

「儲けに最も貢献した人が一番偉いというような極端な成果主義がまかり通る職場では、自分がいい成績を残せば勝ちですが、同僚がもっといい成果を挙げれば、負けです。だから、会話や会議をしていてもお互いの足の引っ張り合いとなりがちになる。これでは、成果主義の導入以前の問題になってしまいます」

自分のポジション向上だけに、自己プレゼンにやっきになる人もいる。そのような人が、足を引っ張り合う職場に放り込まれた場合は、アピールする行為自体が摩擦の種になり、ひいては自分自身の首を絞める危険性もはらんでいるのだ。