カーッとなったら「6秒数える」

■「か」感情的にならない

これはNOを言う場合に限らず、あらゆるシチュエーションの会話で大事です。感情だけが先行して、理性が働かない状態でコミュニケーションしてはいけません。

運転にたとえるなら、ハンドル操作もブレーキも利かない自動車と一緒です。自分をコントロールできないまま、人と接するのは危険です。トラブルになるのは必至でしょう。人間ですから、腹が立つときはあります。理不尽な要求や、何度指摘しても改善されない仕事内容などに、感情を込めた言葉でNOを突きつけたい場面もあります。

そんな気持ちが湧き上がってきたら、冷却期間を設けましょう。私はアンガーマネジメントの研修会で、怒りを感じた場合、まずは6秒間我慢しろと教えています。これを“カウントシックス”と呼びます。

具体的には、カーッときたときに、机の下など相手の見えないところで(あるいは、頭の中でイメージして)指を折って6つ数えるのです。6なので、片手だけでは数え切れずに、両手を使う。左手から1本ずつ指を折っていったとすると、5から6になる際に右手に移り替わることになります。その際に、意識も切り替わるのです。

また、怒りは6秒程度がピークで、それを過ぎると鎮静化に向かうと言われていることも、このカウントシックスが効果的な理由です。

それでも感情が収まりそうにないときは、いったんその場から離れるのも手です。トイレに行って自分の顔を鏡で見れば、怒っている顔を客観的に認識できる。そこで感情の波が収束し、気持ちが落ち着いてから、元の場所に戻って、冷静に自分の意見を伝えればいいのです。

「説明責任」は現代のビジネスで必須

■「り」理由をキチンと話す

なぜNOなのか。あなたにはその理由をキチンと説明する義務があります。断られる理由がわからなければ「自分のことが嫌いだからだ」「面倒くさがって頼みを聞いてくれない」などと相手は誤解します。そういう小さなすれ違いで、敵を作ってしまうのは損です。たった一度のNOによって、それまで築いてきた人間関係を壊したり、職場で悪評が広まるのは避けるべきでしょう。

また、現代のビジネスでは、説明責任が求められるのは当然です。「改善提案はよくできていたが、上が納得しない」なんてひと言で部下を引き下がらせることができたのは、いまは昔の話です。