職場で「パワハラ」と言われないためには、なにに気をつければいいのか。産業カウンセラーの渡部卓氏は「どのような状況、どのような相手でも意識してほしいポイントがある。それは『かりてきたねこ』の7文字に詰まっている」という――。

※本稿は、渡部卓『あなたの職場の繊細くんと残念な上司』(青春新書インテリジェンス)の一部を再編集したものです。

室内で子猫がぽつんとしている
写真=iStock.com/LisaValder
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パワハラ防止にもなる「かりてきたねこ」

ビジネスであれプライベートであれ、相手の意向に沿わない意見を言う行為は、誰にとっても気が重いものです。

相手に対して、こちらがネガティブな反応を示す以上、どうしてもその後の影響が気になります。

そこで、シチュエーションや相手別に、できるだけ丁寧に、誠実に自分の意見を伝える言い方を紹介していきたいと思います。

その前提として、どのような状況、どのような相手であってもつねに意識してほしい「共通のポイント」があります。つねに「かりてきたねこ」を意識する、ということです。「かりてきたねこ」とは、パワハラ防止対策や、組織のコミュニケーション改善の研修などをする際に必ず伝えている私の造語です。多くの研修講師たちにも引用されています。部下を叱り、自分の意見をしっかり伝え、パワハラの誤解を回避するうえで欠かせない心得だと考えています。具体的には、

か──感情的にならない
り──理由をきちんと話す
て──手短に済ませる
き──キャラクター(性格や人格、外見や言動の特徴)には触れない
た──他人と比較しない
ね──根に持たない
こ──個別に伝える

という、7つのポイントの頭文字を取ったものです。

相手に伝える前に、このポイントをチェックしておけば、何を伝えるにしても、無用な対立感情を生まず、すんなり受け入れてもらえる可能性が高まります。とくに、言い方次第で人間関係がこじれてしまいがちな「NO」に対して、リスクを軽減する効果があるのです。

では、一つずつ解説したいと思います。