民主党が墓穴を掘った!?「普天間基地」問題の初動


6月末、各国首脳はカナダ・トロントに集まり、G20が開催された。(AP/AFLO=写真)

損得を考えて行動することを「打算的」というなら、国益の損得を考え尽くさない日本の外交というのは、まったく打算的ではない。

「北方領土」の問題も、北方四島を実効支配しているのはロシア。では、力尽くで取り返そうとしたらロシア相手に勝てるかといえば、誰も勝てるとは思わない。ならば二島だけでも返してくれるなら儲けもの、さっさと日露平和条約を結べばいい。そうすれば、シベリアで大掛かりなエネルギー開発をできるし、ツンドラ地帯に日本の使用済み核燃料を保管してもらうことも可能。北朝鮮を背後から脅かしてもらえば日本の国防費も削減できる。得することが指折り数えられるのだ。

外務省は四島一括返還にこだわって、平和条約は戦後60年以上経っても締結されていない。そもそも日本が無条件降伏して当事者能力を失っているときに、戦勝国であるアメリカと旧ソ連の間で北方領土の割譲が決められたわけで、日本固有の領土という言い分は通用しない。ロシア(旧ソ連)はサンフランシスコ平和条約(1951年締結)にサインしていないから、領有問題を国際的な調停機関に持ち込んでも答えは出てこない。結局、実効支配しているほうが強いのだ。だったら二島(あるいは面積等分で三島+択捉(エトロフ)の3分の1)でも返してくれるのなら返してもらって、次のステップに進んだほうが建設的だし、メリットも大きい。

「普天間基地」の問題も理を尽くして国民に説明していれば、首相が交代するような問題にはならなかったはずだ。

まず、沖縄がアメリカから日本に返還されたときの協定(71年)を思い出してほしい。返還の唯一の条件は、米軍が今まで通りに基地を使えることで、当時の佐藤栄作首相はそれで結構ですとサインをした。今まで通りということは、当然、沖縄の米軍基地に核が持ち込まれるわけで、密約はあったに決まっているのだ。そういう条件でサインをしたから沖縄は返ってきた。その条件を呑まなかったら沖縄は返ってこなかっただろう。それで日本は損をしたのかといえば、やっぱり得をした。密約から何から洗いざらい国民に説明しても国民は怒らなかったと思う。