「嘘の可能性の高い主張を検証もしない裁判は有効なのか」

8月5日付の産経新聞の社説は冒頭部分からこう主張する。

「そもそも応じる必要のない要求だ。賠償命令自体が歴史をねじ曲げ、日韓両国間の協定を無視した暴挙であり、容認できない」

この「歴史をねじ曲げている」ことについては、先に挙げた『反日種族主義』の編著者、李栄薫(イ・ヨンフン)氏も同書の中で「大法院の判決文の基本的事実関係を読んだ私の所感は、『これは嘘だ』でした。嘘である可能性が大きい。大法院は原告の主張が事実であるかを検証しませんでした。嘘の可能性の高い主張を検証もしない裁判が果たして有効なのか」と述べている。

産経社説は「現金化により日本企業の資産が不当に奪われるなら、政府は厳格な対韓制裁に直ちに踏み切るべきだ。韓国から撤回と謝罪があるまで緩めてはならない」とも訴える。韓国の文政権を嫌う産経社説らしい書き方だ。

「司法判断を尊重する」という文大統領自体が異常

産経社説は菅官房長官の記者会見での「毅然と対応していく」と発言を挙げ、「現金化の場合の対韓制裁実施を示唆したもので、韓国は日本政府の決意を軽んじてはならない」と主張する。見出しも「『徴用工』問題 現金化なら直ちに制裁を」だ。産経社説が指摘するように、何らかの制裁は必要だ。制裁措置を取らないと、文政権はさらに日本を軽んじていくからだ。

産経社説はこうも指摘していく。

「賠償を命じた韓国最高裁の判決は信じ難い代物だ。『不法な植民地支配と侵略戦争遂行に直結した反人道的不法行為』などと決めつけている」
「国民徴用令に基づき、昭和19年9月以降働いていた朝鮮半島出身者がいたのは事実だが、韓国側のいうような強制労働ではない。賃金の支払いを伴う合法的な勤労動員にすぎず、内地人も同じように働いていたのである」
「その上、40年の日韓国交正常化に伴う協定で、両国は一切の請求権問題について『完全かつ最終的に解決された』と明記した。協定に伴い日本は無償3億ドル、有償2億ドルを韓国に支払った」
「無償3億ドルには個人の被害補償の解決金が含まれている。個人補償を必要とするなら、支払うのは日本側ではなく韓国側だ」

いずれも産経社説の指摘の通りであり、文在寅大統領が「司法判断を尊重する」との立場をとること自体が、異常なのである。