寂しさを打ち消すように通りすがりの男に抱かれる

仲のいいスタッフもいて朝から夜まで快適に過ごせるとはいえ、出会い喫茶は閉店する午前0時以降は何をして過ごしているのだろうか。

吉川ばんび、週刊SPA!取材班『年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-』(扶桑社新書)

「朝まで開いている店は、いくらでもあるよ。さっきの居酒屋で寝てもいいし、漫画喫茶だってたくさんある。今日は金を稼げたから、カプセルホテルかネットカフェにでも行こうかな」

男に連れ出されても、食事をするだけで「ウリはしない主義」だというが、例外もあるそうだ。

「実は、ノリが合えばヤッちゃうときもあるんだよね。ホテルなら風呂に入れるし、やっぱりベッドで寝たいもん!」

寂しさを打ち消すように通りすがりの男に抱かれる場所も、歌舞伎町のホテル。愛華さんは本当に、この街だけで暮らしているのだ。午前0時。閉店まで粘っていた色白で痩せた長身の男性と意気投合した愛華さん。いそいそと荷造りを始めた。

「ごめん、あの人と出かけるわ」

嬉しそうに頰を染めて、慌ててリュックを背負った。愛華さんは先ほどと同じく受け取った現金をポケットに突っ込むと、今度は男の腕に絡みつき、笑顔で手を振って夜の街へと消えていった。しかし思う、未成年者たちが若さを売ることを、搾取せずに守ってあげることが、本来の大人の使命なのではなかろうか。彼女を今後も取材し、大人として手助けをしていきたい。

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