トップ大学に合格したあとの思わぬ落とし穴
親子で必死に努力した甲斐があって、多くの韓国人はアメリカのトップ大学への合格切符を手にしました。ところが、ここに思わぬ落とし穴がありました。ハーバード大学、イェール大学など、アメリカのトップ大学に通う韓国人学生のうち44%がドロップアウト(中途退学)してしまったと言うのです。
もの心ついたときから脇目もふらず、青春のすべてを勉強にかけてアメリカの名門大学入学を勝ち取ったのに、なぜ半数近くの学生が志半ばで中途退学することになってしまったのでしょうか?
世界中から優秀な人材が集まるアメリカの名門大学では簡単にトップにはなれません。ましてや英語ネイティブの秀才たちとは英語力で埋められない差があるのです。それまで勉強では負けたことがなかった韓国人学生が、アメリカの大学で初めて「負け/挫折」を経験したのです。ドロップアウトした韓国人学生の多くは、世界中から集まってきたエリート学生との競争に敗れ、「自分はやっていけない」「自分には無理だ」と自信喪失してしまったのです。
韓国人学生の多くは、子ども時代を勉強だけに追われ、スポーツや音楽などの課外活動に本気で従事する経験を持つことができませんでした。その結果、レジリエンス(敗北や失敗から立ち直る力)を身につけることができなかったのです。だからこそ、グローバル競争社会で生き残っていくためには、受験のための詰め込みだけでなく、失敗や挫折を乗り越えられるメンタルタフネスを育てておくことが必要なのです。
受験大国では特に「メンタルタフネス」が重要だ
日本も韓国ほどではないですが学歴社会です。今後グローバル化が進んでいくことで、さらに受験競争に拍車がかかる可能性があります。受験で子どもを燃えつきさせないためには、勉強以外の「特技」や「強み」育てに目を向けて、「メンタルタフネス」を鍛えておくことが大切です。
日本は世界でも例を見ない「受験が多い国」です。幼稚園受験、小学校受験、中学校受験、高校受験、大学受験と、子どもは休む暇なく受験勉強に追いかけられます。最近は中学受験がブームになっていますが、中学受験で第一志望に合格できるのは「3割」程度と言われています。つまり7割の子どもたちは中学受験で「失敗体験」をするのです。
また、希望の学校への合格を勝ち取ったとしても、そこで停滞してしまう子どもが多いことを知ってください。学力レベルの高い学校に合格すれば、競争のレベルも格段に上がります。自分よりも学力も才能も優れたクラスメートに囲まれたときに、「自分はやっていけない」と自信喪失してしまう可能性があるのです。