渡部建の自衛戦略は凡人、素人

文春の記事を受けて、問題となった六本木ヒルズの多目的トイレでの「行為」は、森ビル側が被害届を出すこともできる、というトンチキな解説をしている者がいたが、被害届は刑事告訴とは違うものの刑事案件で、仮に森ビル側が被害者とすると森ビル側に「被害」の立証責任がある。立証の根拠が「週刊誌の記事に書いてあったから」では警察は受理しないだろう。施設全体のイメージ低下につながったと無理やり難癖をつけて民事訴訟をすることは可能だが、これも渡部氏側に裁判所が賠償命令を下すか否かは極めて微妙なところだ。

なぜ渡部氏は「これはあくまで夫婦間の問題であり、極めてプライベートな問題であって、世間様に謝罪する案件ではない。これは根拠のないリンチと同じである。むしろ過度な誹謗中傷や事実と違う報道には当方が訴訟を起こして名誉を回復する」と堂々会見しないのだろうか。答えは簡単で、世間様の苛烈なバッシングを恐れているからである。

つまり理不尽な魔女狩りに抗するだけの民主的自意識がないのである。まったく情けない。「河井克行や案理こそが、血税をないがしろにした罪科で世間様の前で平身低頭謝罪するべきではないか」と堂々と自説を展開すればよろしい。ではなぜ堂々と自説を開陳できないのかと言えば、平素から自説を開陳できるだけの理論武装をまったく怠り、毒にも薬にもならないグルメレポばかりやってメディアの寵児になり、いざというときの自衛手段への想像力を欠いていたからである。これをしないところに渡部氏の限界を感じざるを得ない。自衛戦略においては、所詮は凡人、素人であったという事に尽きる。

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