国民の原発に関する信頼度は高くない
そして2012年に月城原発では、過去5年間に1555個の部品の試験結果が捏造されていたことが発覚した。そして現在もっとも危惧されているのが、2013年から指摘されていたハンウル原発3、4号機の老朽化問題だ。
また月城と古里では韓水原と住民が「原発ムラ」さながらの癒着をしている実例もある。
こうしたことからも国民の原発に関する信頼度は高くない。さる6月11日も月城原発の使用済燃料貯蔵施設の追加建設に反対する各市民団体が青瓦台前で記者会見を開き、建設計画の白紙化を訴えた。これに先駆け5~6日に行われた蔚山北区の住民投票には、有権者17万5138人のうち、5万479人が投票に参加、そのうち4万7829人が反対を示した。
韓国は原発に対する敷地別人口密集度ともに世界一
だが、韓国にとって反原発が重要である大きな理由はほかにある。グリーンピースコリアによると、韓国原発は国土面積に対する原発密集度、および原発に対する敷地別人口密集度ともに世界一。6基以上の原発が一箇所に密集している場所は地球上でたった11カ所しかなく、韓国はそれに含まれるとしている。さらに大型原発半径30km内の人口も世界最多。特に韓国最古の古里原発周辺30km圏内には釜山港、現代グループのお膝元である蔚山など韓国経済の中心地が集まっている。そして仮に南北有事の際はまっさきに北朝鮮の攻撃対象となりうる(もっとも、北朝鮮も無傷ではいられないが)。
一方で、原発輸出は韓国の虎の子でもある。NRC(原子力規制委員会)から唯一、設計認証を獲得するほどの技術力を誇る韓国は現在、チェコなど東欧とエジプトに原発建設の輸出をしており、イギリスとブルガリア北部のヴェレニエ原発建設受注も進めている。2030年までに総2.8GWの原発2基を建設する予定のサウジアラビアは、昨年7月に韓国ほか米国、フランス、中国、ロシアの5カ国を予備事業者に選定した。