親の謙遜を言葉通りに受け取る子ども
日本には独特の文化的習慣が多くありますが、世界から見て特徴的なものが、「謙遜文化」と「集団主義」です。
謙遜文化について説明します。「◯◯ちゃんは頭がいいね!」と、知人から子どもをほめられたとき、日本人の親は100%、「そんなことないよ。うちの子、全然できないよ」と否定します。もちろん親は謙遜しているのですが、これを横で聞いていた子どもは、「ボクは全然できないんだ……」と言葉通りに受け取ってしまう可能性があるのです。親の否定言葉ほど子どもの自信を下げるものはありません。
「自分を下げてみせる」というのは日本に古くから伝わる謙遜文化です。身分制度が複雑化していった歴史の中で、身分の上下を明確にするために、「相手を上げる」ことに加えて「自分を下げる」という日本独特の表現方法が生まれたのです。
謙遜は、本来「自分を下げる」ことが目的だったのですが、いつの間にか、「身内を下げる」に変貌し、習慣化していきました。今でも日本では、「愚妻」「愚息」「愚弟」など、身内のことを下げて表現することは珍しくありません。
子どもをけなすことを「当たり前」にしてはいけない
親が自分自身を下げることはかまいませんが、子どものことまで下げることが習慣になると、「うちの子はダメで」「本当にグズで」「言うこと聞かなくて」と当たり前に子どもをけなすことに発展する可能性があります。そこまで悪化しなくても、ママ友との雑談の中で「うちの子は本当にダメで困るわ」と、子どもを下げることに無神経になっている親の姿をよく見かけます。
とは言え、「◯◯ちゃんは賢いね!」と人からほめられたとき、「そうなの。うちの子、天才なのよ!」という肯定的な対応を日本でするのは相当な勇気が必要です。心の中では「うちの子は天才」と思っていても、人間関係を円滑にするために、「そんなことないよ!」と一度は否定するのが一般的ですよね。
では、どうしたら子どもを下げずに、かつ周囲に嫌みにならない対応ができるのでしょうか。