安倍政権の支持率、民主時代と比較すれば高水準

政界で信頼性に評価がある時事通信社による5月の世論調査で、内閣支持率は38.1%となった。調査方法が異なるため単純比較ができないものの、3月の調査結果は39.3%で、この2カ月間で微減した形だ。日経新聞やJNNの調査でも第2次安倍政権以降で最低水準の38%、39.1%にそれぞれ落ち込んでいるが、いまだ4割近い支持があるのは安倍総理に期待し続ける「岩盤支持層」が存在するためだ。2つの調査結果は朝日新聞の29%、毎日新聞の27%と比べ高い傾向があるが、民主党政権時代と比較すれば、かなり高水準にあるのも事実である。

時事通信社が実施した民主党政権時代の調査を見てみよう。2009年9月に誕生した鳩山由紀夫内閣は発足から3カ月で5割を下回り、翌年3月には30.9%に低下。菅直人内閣は在任中平均26.0%で、2011年8月は13.3%にまで落ち込んでいる。その後の野田佳彦内閣は5割を超える支持率でスタートしたものの、2カ月後の2011年11月には35.5%に続落し、2割台へ下降していった。新聞社の中には内閣支持率が2割台に突入後、短命に終わった政権と比較するところもあるが、それは衆議院と参議院の多数派が異なる「ねじれ国会」であったことや、政権交代へのうねりがあったことなどの要因があることも忘れてはならない。現時点で、衆参で多数派を占める自民党の政党支持率は3割超あり、野党各党の政党支持率はその3分の1以下であることから見ても政権交代への期待は高まってはいない。

拉致被害者を取り戻せたのは小泉・安倍コンビだけ

連日のようにメディアでたたかれながらも安倍総理の支持が崩れない理由には「保守派のスター」への期待があるのは間違いない。6月5日に北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみ氏の父である滋氏が87歳で亡くなったが、滋氏が安倍総理に信頼を寄せていたことは知られている。まだ国民の多くが「拉致問題」との認識を持っていなかった時から安倍総理は安倍晋太郎元外相の秘書として奔走してきた。

口先では「拉致問題を解決する」と繰り返す政治家は多いが、言うは易く行うは難し。拉致被害者を唯一取り戻すことができたのは小泉純一郎総理と安倍氏のコンビだけだ。2002年10月、北朝鮮の金正日総書記との交渉の末、拉致被害者5人を帰国させ、その後も曽我ひとみ氏の夫であるジェンキンス氏の「救出」も果たしている。