職場内「コロハラ村八分」をする経営者・上司の理性なき言動

コロナ収束が見通せない中でも、所長や上司は職場の円滑な人間関係を保ちつつ、仕事に対するモチベーションを高めるのが本来の役割であるはずだ。ところが、職場環境を破壊する人間に豹変してしまうのはなぜなのか。

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先の連合の労働相談では日頃の職場では想像できないモンスター経営者まで登場している。

<週末に法事で帰省し、月曜日に戻ってきたところ社長に「活動自粛なのに帰省するとは何事か」「きっと新型コロナに感染しているに違いない。陰性が証明されるまで出社するな」「他の社員に感染したらどう責任を取るんだ。あんたのせいで会社が潰れたら訴えるぞ」「今からとっとと荷物を片付けて帰れ」「もうクビだ。二度と来るな」など一方的に言われ、仕方がないので自席の荷物を片付けていると、除菌スプレーを吹き付けられた>(パートタイマー・女性・製造業)

現状、ワクチンもクスリもない新型コロナウイルスを恐れる気持ちはわからないではない。しかし、この経営者は理性が完全に吹っ飛んでいると言わざるをえない。

「感染している」という極端な思い込みで、女性を排除しようという執拗かつ異様な行動に驚いてしまう。経営者として他の従業員の健康を気遣っているというより、自分自身が感染することを極度に恐れているように見える。先の保育所の所長や上司の行動とも共通する。

「自己愛的な性格を持ち、その性格が“変質的”な段階まで高まった人」

彼らはなぜこうした異常な行為に走ってしまうのか。じつは陰湿なハラスメントを行う人に関する興味深い分析がある。

モラル・ハラスメントを提唱したフランスの精神科医のマリー=フランス・イルゴイエンヌ氏はモラハラの加害者を「自己愛的な性格を持ち、その性格が“変質的”な段階まで高まった人」と定義する。自分の身を守るために、他人の精神を平気で破壊し、しかもそれを続けていかないと生きていくことができない人であるとも言っている。

イルゴイエンヌ氏は自らの臨床経験に照らして次のように述べている。

<モラル・ハラスメントの加害者は何につけても自分が正しいと思っている。その結果、いわば自分が<常識>であり、真実や善悪の判定者であるかのようにふるまう。そのため、まわりにいる人々は加害者のことを道徳家のように思って、加害者が何も言わなくても、自分が悪いことをしているような気持ちになることがある。いっぽう加害者のほうは、自分の基準が絶対的なものだと考え、その基準をまわりの人々に押しつける。そうやって、自分が優れた人物であるという印象を与えるのだ。>(『モラル・ハラスメント』紀伊國屋書店)